内容説明
1937年。空のオリンピック――平和推進を目的とした青少年エアレースが開催される。パイロット12人が英国から飛行機で出発し、ヨーロッパのさまざまな国を経てパリへ向かい、タイムを競い合う。唯一の女性パイロットで英国代表のステラは、レース初日に恐るべき光景を目撃する。前方を飛んでいた二機の飛行機のうち、上の飛行機が下に向かって意図的に接近したように見えた。そして片方は海に墜落。勝利のために、誰かが殺人を犯したのか? ステラは身の危険を感じて、犯人探しをはじめるが……。国際スリラー作家協会賞YA部門受賞作!/解説=深緑野分
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
42
1937年にヨーロッパ各国の青少年たちで行われたエアレース大会。 12か国代表の12人で競うのだが、英国代表は唯一女性のステラ。 そのステラがレース中に目撃したのは、飛行機の接触によって1機が墜落する瞬間。 1人が行方不明という扱いになったが、果たして事故を仕向けたのは誰なのか。 このミステリと同時に、まだ20歳未満なので青春ものとしても楽しめる。 そしてヒトラーやムッソリーニの名前が出てくるので、このあと第2次大戦がはじまるので、彼や彼女たちは戦争に参加することが濃厚な未来も見えるのが不穏である。2026/07/23
M H
30
1937年、英国発の青少年エアレースで起きた墜落。だが目撃した女性飛行士のステラには、意図的な接近による墜落、殺人にしか見えず。犯人を捜し出さなくては。生きるために。国際色豊かなレース出場者たちの横顔、交流が時代背景を色濃く映し出す。どうしてただ空を飛ばせてもらえないのだろう。懇切で託した想いを書ききった著者あとがきが必読レベル。2026/06/21
本の蟲
15
1973年。主人公である女性パイロット、ステラは英国代表として「欧州の平和」を謳った青少年エアレースに参加する。レース中、二機の飛行機の不可解な接近と、片方の墜落を目撃し…。妨害工作の疑い。ロシア、スペイン等、革命や戦争で国を逃れた難民たち。パイロットが代表する国の国籍を持たないアイデンティティ問題。そして大戦前夜の緊張感。様々な障害の中「ただ空を飛ぶことが好き」な若者たちの協力と団結。実際に行われた国際エアレースと、あとがきでも触れられていた『遥かなるセントラルパーク』も気になる2026/06/11
アカツキ
12
1937年、各国代表12人のパイロットが英国から出発してタイムを競い合う青少年エアレースが開幕。イギリス代表で唯一の女性パイロットであるステラは前を行く二機の飛行機のうち、上を飛んでいる飛行機が下を飛ぶ機体に近づき、下の機体が墜落する場面を目撃。ステラは不穏なものを感じて調べ始める…。戦争の気配が濃厚な時代のなか、爽やかな友情と青春が感じられるサスペンス。途中でダレてきて所々流し読み。著者のあとがきにも少し書かれていたが、年代的にどうしても物語の後のことが頭に浮かんで暗い気持ちになってしまう…。2026/07/28
土筆
12
1937年、欧州で平和推進を掲げたエアレース。各国代表の若者達はヨーロッパ各地を周る。しかし不可解な墜落から不穏な空気が漂いだす。WW2の6年前、ナチス、イタリアのファシズム、スペイン内戦。国籍とアイデンティティ。ダメな大人管理者とデキる10代。戦争さえ無ければ純粋に空を飛んでいられたのに。著者によるあとがきがまた為になる。物語の下地になっている様々な事柄について詳しく説いてくれている。ナンセンパスポート(フリチョフ・ナンセンがロシアを脱出した人々に出したのが始まり)。そして多めの注釈が親切でありがたい。2026/06/20




