内容説明
公布から80年、今こそ日本国憲法を本気で考える。憲法をめぐって紡がれた物語は、国民に浸透しつつも、第二次安倍政権下で危機に直面する。その時、立ちはだかったのは意外な“存在”だった――。「天皇への敗北」はなぜ起きたのか? その理由を、30年前に物議を醸した「敗戦後論」、昭和の憲法学者と文人の抵抗、戦争責任まで遡って探る。戦後憲法学の試みを近代文学に準え、複雑に絡み合う「天皇・憲法・戦後」の核心に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
89
う~む、難しい。消化不良!哲学や宗教は鬼門。ちょっぴり刺激的な題名に惹かれ手に取ったが…。『天皇への敗北』の”への”って何だ??消化しきれぬながらも「民主主義」と「立憲主義」の関係について新たな知見を得たのは収穫。憲法は権力者による上からの権力行使に制約を課すものと理解していたが、民主主義社会とは「民衆が権力を作り出す」政治体制だが、この下からの民主的な決定も憲法の定めを越えてはならないという。民主主義と立憲主義は必ずしも一致せず、カントは『純粋理性批判』(勿論、読んだことないけど)の中で⇒2026/06/30
岡部敬史/おかべたかし
64
憲法を蔑ろにした政治運営に疑問を持つ人は読むべき一冊です。 今の政治体制は、民主主義と立憲主義の両立によって成り立っている。民主主義というのは、民衆が選挙によって選んだ人が決めること。立憲主義というのは、そうやって民主主義的によって決められたことも、憲法によって制限を受けるということ。《民主的に決めたからといって何でも認められるわけではない有り体に言えばそういうことである》 わかりやすくこう書かれている。そのことをこうやってしっかりした文章で読むだけでも、救いを感じられる。みんな読もう。2026/05/22
逆丸カツハ
36
天皇が敗北?しそうな今読むとちょっと感慨深いかも。すごい人だなぁとつくづく思う。理想の教師を地で行ってるんだろうなぁ。我が身の無教養も思い知らされる。とてもいい読書体験であった。2026/07/09
ta_chanko
26
立憲民主主義は、立憲主義と民主主義が相互に緊張関係をもって並立するもの。君主独裁や多数の横暴といった権力を制限し、人々の普遍的権利を守るのが憲法。世論の支持を受けたからといって白紙委任を受けたわけではない。近年、日本では解釈改憲による安保法制の整備が進められているが、そのような立憲主義の危機の際、それを守るため前面に出てきたのが天皇(現上皇)の存在。憲法第1条に定められている天皇こそ、立憲主義の砦であった。そしてそのような天皇の言動を、護憲派(左派)が賞賛。これこそが「天皇への敗北」の意味。2026/06/04
buuupuuu
22
私たちは、建前では憲法を尊重すると言いながら、本音ではそれを軽んじてきたのではないか。美濃部達吉や中野重治は、現行憲法の中に、筋の通らなさやごまかしのようなものを見たのだが、それらは、私たちが自分たちの置かれた状況と向き合えていないことの表れでもある。そこでは憲法は、空疎な取り繕いのようなものになってしまっている。しかし現状と向き合うとは、現状追認をするということではない。おそらく過去との連続性や、理想や価値といったものも巻き込みながら、現状について対話し、共有されたものを蓄積していくことなのではないか。2026/07/07
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