内容説明
長男を16歳で、次男を19歳で相次ぎ自死により失った作家が、息子たちについて語る思索に富むエッセイ。「この本は悲しみや哀悼の本ではない。私の悲しみに終わりはない」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
48
読書をしていると、極めてプライベートな悲しみを読むことに意味はあるのだろうか、と考えることがある。理解や共感など出来るはずもなく、死生観について勝手に思いを馳せるのも違う気がしてしまう。そのため『理由のない場所』には少し虚ろな感情を抱いてしまい、今回の伝記は読むかどうか悩んでいた(後のテーマが違う『水曜生まれの子』『ガチョウの本』は傑作であった)。しかし、結果的にはこの本も読んで本当に良かったと思う。これは悲哀や家族愛を綴った単なる伝記本ではなく、知性とは何かという問いが内に自然と生まれる哲学書である。2025/12/17
くさてる
21
名前だけは知っていたけれど、小説は未読。初めて手に取った一冊がこれだったのが正解かどうかは分からない(小説も読む予定)。二人の息子を時間差でそれぞれ自殺で喪った喪失の体験をつづった一冊。周囲の理解、ときにひどい無理解や息子たちの思い出、母との関係などを思い悩みながら、結論など出せるわけもなく、ただ重なっていく言葉が美しかった。でもとても悲しかった。「自死」という事実から生まれる強烈な反応の一つ一つがあまりにも苦しくて。けれど読むのを止めたくはならなかった。読んで良かったです。2025/12/12
スイ
17
十代だった長男ヴィンセントが自死した時に、「ヴィンセントの本」を記したイーユン・リー。 7年後、次男ジェームズもまた十代で自死をし、その後に書かれた「ジェームズの本」が本書である。 感じて生きていたヴィンセントの時にはフィクションになったが、考えて生きていたジェームズにはそれではだめだ、今までの書き方ではだめだ、と手探りしながら思考を綴っている。 明晰な文章は見事で、一文ずつ本から引き出して飲み込み、私の体に取り込みたいほど。 奈落で生きること、受容、いま。 書かれているのは著者以外のものになりえない2026/03/04
蝸牛
13
息子二人の自死という重い出来事を知力を支えに振り返るという構成に感心する。「人はこうも失言をするものなのだ」(栞を挟んだ、抜粋)に問題の核心が込められていて、その取り返しのつかなさが胸に残る。2026/03/20
GO-FEET
6
《芸術には携わる価値があり、科学には探究する価値があり、正義には追い求める価値がある。同じように人生には、突き詰めれば生きる価値がある。しかし、やる価値があるからといって必ずしもそれをやる力が与えられていることにはならないし、やる力があってもそれを失わずにいられることにもならない。やる価値があることとやれることには隔たりがあり、その隔たりこそ若者に野心が宿り、老人に衰えが待ち構えているところなのだ。》(152頁)2026/01/16
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