内容説明
イタリア最高峰の文学賞、ストレーガ賞最終候補
ブルックリン、イタリアの小村、ロンドンと、土地に根を張ることなく生きてきた「異邦人」の若い女性の物語。音声による意思疎通から疎外され、「よそもの」として生きる聾者の母に捧げられた物語でもある。
「家族」:語り手の若い女性の両親(ともに聾者)のローマでの出会い、アメリカへの移住、子ども(語り手およびその兄)の誕生、離婚とイタリアへの帰国について語られる。
「旅」:ブルックリンのイタリア系コミュニティの思い出。やがて両親の離婚にともない、幼少期にアメリカからイタリアのバジリカータに移住した語り手の体験。皮肉を利かせたコミカルな筆致で描かれる。
「健康」:「耳が聞こえないけれど音楽が好きな母」の思い出。手話による意思疎通を嫌った母、テレビでいっしょに音楽祭の番組を見ていたときの字幕、母が「比喩」や「皮肉」といった修辞技法をなかなか理解しなかったことなどが綴られる。
「あなたの星座は」:語り手は母親に「もし聾でなかったら、どんな人生を送っていたと思うか」と問いかける。母は「つまらない、意味のない人生だったでしょうね」と答える……。 「移民文学」とは一線を画す、型破りなオートフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
38
確かに「移民文学」と言われて想像するような小説とはかけ離れた一風変わった作品である。もっと言えばただの小説とも違う。自伝文学”風”でありながら読者を幻惑するレトリックも散りばめられていて、後半に至るとエッセイを読んでいるような可笑しさや面白さもあった。ざっくばらんに言ってしまえば少し尖った実験小説か。と言っても文章自体にはそこまでの取っつきにくさはなく、翻訳の巧さもあってか流れるように読み続けられる。時折はっとするほど力強く鋭い言葉に出会いメモすることも屡々であった。2026/01/07
フランソワーズ
6
フィクションと、映画や文学、音楽、それに貧困や病気などの社会への考察が混在する。ものを語るという行為を初めから放棄しているような文学作品。で、その考察がとても面白かった(知的レベルから、わたしには理解不能なところも多々あったけど)。2026/03/07
瀬希瑞 世季子
3
"夢から覚めたあなたたちが、自分の一部は恐ろしい生き物に噛みちぎられて失われたと説明しても、誰も耳を貸さないだろう。日々の生活のなかで、自分はそのような汚染の結果を背負わされていると話したら、誰かはあなたたちに同情してくれるかもしれないけれど、なにを言いたいのか理解してもらえることはけっしてないだろう。かわりに、自分は怪物である、あるいは夢のなかで、自分はずっと前から怪物だった、と話してみるといい。あなたたちの言うとおりだと、みんなが認めてくれるはずだ。"p.3112026/02/06
19番ホール
1
25年12月の新刊。自身と家族の出自を辿りつつ、翻訳や移民、言語について省察していく。出だしは小説っぽいつくりだけど、どんどん自伝エッセイ調になってくオートフィクションだった。気にいるひとはハマりそう。自分にはあんまり刺さらず。2026/03/28
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