内容説明
ヴィクトリア女王の長い治世と第一次世界大戦に挟まれた「転換」の時代に「エドワード平和王」の異名を取った国王が即位する。英国史上二番目の長い皇太子時代を経て即位した王は、一九世紀的な古典外交を駆使し、動乱の影が迫る欧州の均衡を保とうとした。エドワード七世の御世は、二〇世紀的外交秩序が崩壊の兆しをみせるチャールズ三世の現在と奇妙に符号しながら、現代を逆照射する。『ベル・エポックの国際政治』の改題新版。
目次
新版への序文 二人の老皇太子
はじめに
第一章 「万年皇太子」バーティの旅路
第二章 「国王陛下万歳!」――英仏協商締結とバーティの活躍
第三章 ニッキーと同盟者【ミカド】のはざまで――日露戦争とイギリスの立場
第四章 バーティとテディ―新たなる英米関係の幕開け
第五章 ヨーロッパの火薬庫―バルカン問題とバーティ
第六章 愛憎半ばのバーティとウィリー――二〇世紀初頭の英独関係
第七章 バーティの死と世界大戦への道
おわりに
新版へのあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
124
自国の王や皇帝が外国から妃を迎えたり、場合によっては他国の王侯貴族が即位するのが欧州では近代まで常識だった。各国の元首が血縁となれば親類同士の社交や話し合いが外交となり、立場や年齢や能力で生まれたリーダー格が取り仕切る。20世紀最初の英国王エドワード七世は、世界最大国家の威光をバックに王室外交時代の最後の輝ける存在となった。甥のドイツ皇帝や従弟のロシア皇帝をいなして欧州の均衡を保とうと努めたが、血は水よりもうっとうしいとの言葉通り、親類にデカい顔をされるのを嫌がる若いのが暴走したため平和は崩れ去ったのだ。2026/08/03
ジュンジュン
15
エドワード・ザ・ピースメーカー、平和王と呼ばれた彼が担ったのが王室外交。各国の王族と「ソフトな側面」から関係を強化し、「ハードな側面」での対立を緩和していく。そして、彼の在位した20世紀最初の10年間はベルエポック最後の輝き、ギリギリ平和は保たれた。そういう意味では時代の象徴的な存在なのかもしれない。彼の葬列で行進する愛犬シーザーを捉えた写真(339p)は、一つの時代の終わりを表わしているようで物悲しい。2026/04/25
ピオリーヌ
12
2026年の刊。原著は『ベルエポックの国際政治ーエドワード七世と古典外交の時代』2012年。こちらに加筆修正を施した新版。エドワード七世とチャールズ三世という、母王のもと皇太子期間が余りにも長かった等、共通点のある二人。また世界情勢もそれまでの国際秩序が変化の兆しを見せていると言う点で奇妙に符合している。そういった問題提起から著された一冊。今まで私は在位年数の短かったエドワード七世「バーディ」について殆んど知ることが無かったが、この本でヨーロッパ国際政治の中心として2026/10/09
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