内容説明
2022年7月8日、安倍晋三元首相が選挙演説のさなかに山上徹也によって銃撃された。
凶弾を放った山上の「絶望と危機感」の正体とは何か。
なぜ、山上はここまで追い詰められたのか。
戦後初めて、首相経験者が殺害された悲劇は、社会の何を炙り出したのか。
事件当日から判決までの1294日間、山上を追い続けた読売新聞大阪本社記者による渾身のルポルタージュ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
157
純粋な人間は危険だ。自分の思想信条こそ絶対の正義と思い込んだ時、純粋無垢な人ほど暴走する。家庭を壊すほど旧統一教会を盲信した山上徹也の母も、そのために人生を狂わされた山上自身も、純粋さ故に他者を犠牲にしても構わないとまで突き進んだ。進学を断念し兄が自殺して孤独に苛まれた末に「なぜ自分がこんなに苦しまねばならないのか」との絶望に囚われ教会指導者殺害を考えた。それが無理なら教会を支援する政治家と見なした元首相を代理として殺せば、自分の尊厳を回復できると思い込むまで追い詰められるプロセスは純粋さが生んだ悲劇か。2026/04/15
白ねこ師匠
35
[★★★☆]街頭演説中の安倍元首相が銃撃により殺害された事件と、その犯人山上徹也の半生を追ったルポ。読んで良かった。父の自死、母の強烈な宗教傾倒、内向的で自責傾向の強い性格など、独力での克服が難しい様々な要素があったことについては、率直なところ同情の念を禁じ得ない。思春期に人並みに自己肯定感が育っていたら…。でも殺人の罪は重大で、安倍氏を狙った理由も自己中心的。境遇によって正当化される点はないと改めて思った。裁判での妹さんの証言があまりにも悲しくて胸が潰れる思い。あと取材班がみなお若いことにびっくりした2026/07/04
どら猫さとっち
16
何故山上徹也被告は、安倍元首相を銃撃せずにはいられなかったのか。この国を震撼させた2022年7月8日。その日以前から事件当日、そして法定を追ったルポルタージュ。家族との確執、統一教会への怒り、進路も就職もうまくいかない現実への絶望。彼の犯行の動機をみれば、自己責任や自業自得と言うのもわかる。しかし、どうにもならない苦しみは、正しく生きることでなくせるだろうか。彼の絶望も焦燥も、この事件の背景にあるものも、これからずっと考えていくだろう。2026/06/28
yuuguren
12
本書を読むまでは、どちらかと言えば山上被告により同情的であり、憎むべきは旧統一教会であり一審判決の無期懲役はやや厳しいものではないのかと感じていた。しかし山上の半生のパートを読むにつれ殺人を犯す前に引き返せたポイントがあり、司法的には妥当な判決ではなかろうかと考えるに至った。読売新聞ではない新聞を購読しているので何とも言えないのだが、改めて整理したものを読まないと事件への深い洞察が得られないのは、普段の新聞の読み方が足らないためなのだろうか?2026/03/27
hideto
7
安倍元首相が銃撃されてからもう4年近く。犯人の山上被告に「無期懲役」の判決が出たのはつい先日。控訴したため、この裁判はまだ続くわけですが、事件発生から、なぜ起こったのか?を読売新聞の記者達が迫ったルポルタージュです。山上被告の人生を追いかけると、母と統一教会との関係が彼を追い詰めていったことがよくわかる一方、なぜ最後は安倍元首相にたどり着いたのかについては、ある種山上被告の身勝手さが出ているかなと。この銃撃がなかったら、統一教会の裏の顔は明らかにされないままだったのかと思うと、それもやるせない気がします。2026/03/29




