内容説明
第38回小説すばる新人賞受賞作。
小学四年生の吉沢癒知は、宗教団体「荻堂創流会」の近畿支部で「降り子(=創父の生まれ変わり)」として信徒から崇拝されていた。幹部の母からは、神聖な身体を持つ者として食事や他者との触れ合いを厳しく制限されていたが、自分に寄せられる信徒の信仰心や日々の「儀式」に抵抗をおぼえはじめていた。そんな癒知の前に現れたのは、家庭の事情で何度も転校を経験している渡来クミ。引越し当初、近所を散策中に見かけた「めっちゃきれかった」癒知に興味津々。ある日、学校のトイレで遭遇したことをきっかけに、ふたりは距離を縮めていく。そして繋がりを持ったのは癒知とクミだけでなく、母親同士も親交を深めるようになり……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
えんちゃん
62
すばる新人賞受賞作。やっぱりすばるとは相性良い。好きなお話だった。新興宗教のアイコンにされた宗教二世の癒知。父の転勤で転校ばかりのクミ。小四に出会ったふたりの少女の友情物語。これぞ青春シスターフッド!と思ったら、帯も同じこと書いてあるみたいでなんだか嬉しい。大人の世界に都合良くがんじがらめにされながらも、自分たちの頭で考えて行動したふたりに胸が熱くなる。もー、母親たちしっかりしてよ。ギアをあげて、風を鳴らして、自転車を漕ぐ今この瞬間は、間違いなく幸福だよね。ふたりの一生の宝物。2026/04/23
よっち
27
宗教団体の近畿支部で「降り子」として信徒から崇拝されていた小学4年生の吉沢癒知。施設内で儀式や信者の視線に囲まれた日々を送る彼女の前に、転校生・渡来クミが現れるシスターフッド小説。厳しく制限され、信徒の信仰心や日々の儀式に抵抗を覚え始めていた癒知にクミは興味津々で、急速に距離を縮めていく2人。大人たちの信仰や都合に翻弄されながらも、互いのままならない現実を共有し、宗教2世問題を子どもの視点で描きながら、幸せを感じる瞬間を作ろうとする少女たちが、自分で人生を漕ぎ出す手触りを初めて知っていく姿が印象的でした。2026/04/08
信兵衛
24
二人の友情は輝かしく、そして気の合わせ方も素晴らしい。 そして何といっても、最後の疾走感が堪らない! 表紙の、自転車の二人乗りの絵、最初はとくに感じることはなかったのですが、読み終えた今、凄く良い!2026/04/04
まる子
21
第38回小説すばる新人賞受賞作。新興宗教2世でありながら、創父様の生まれ変わりとされる「降り子」として崇められる小学生の癒知(ゆち)と、転校生で仲良くなったクミ。生まれてすぐから母に抱かれた事がない癒知が、一般の親子、食べ物、生活を知っていく。宗教だといえども母親との愛情に飢えるのは如何なものかと💧そんな癒知とクミVS市民8万人!チェーンが外れようとも、怪我の痛みもなんのその!ギアをあげて!風を鳴らして!小学生のシスターフッドここにあり!!憲法の信教の自由とは「強制」であってはならないのよね。2026/04/27
tetsubun1000mg
21
小説すばる新人賞受賞作でデビュー作だそうだが、知ったのは定期購読する本の雑誌5月号「北上次郎ならこれ推すね」コーナー。 書評家の藤田香織さんが北上次郎氏ならきっと涙して推薦するのではと紹介。 小学4年生の二人の少女の出会いと友情の物語なのだが、転勤族の娘と新興宗教を継ぐ役を求められた娘の設定が秀逸。 二人の会話や自転車の乗り方を教えたりとするストーリー展開もうまい。 二人で自転車に乗って逃げ切ろうとするラストもスピード感があって良いのだが、終盤で文章がゴタゴタしたのが少々残念。 でも次作が出たら読みたい。2026/04/23
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