ちくま新書<br> 自由民主主義とは何か

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ちくま新書
自由民主主義とは何か

  • 著者名:田中拓道【著】
  • 価格 ¥1,122(本体¥1,020)
  • 筑摩書房(2026/03発売)
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  • ISBN:9784480077318

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内容説明

経済格差の拡大、排外主義や権威主義の広がり、極右ポピュリズムの台頭――。西洋で生まれ、二〇世紀に日本を含め世界中に広がった自由民主主義の理念が、大きく揺らいでいる。選挙で代表を選び、法や議会の下、個人の自由や多様性を尊重するこの原理は、はたして普遍的か。リベラリズムとデモクラシーの起源から、世界大戦による破局を経て、新自由主義、代表制民主主義、フェミニズム、ケアの倫理まで。ときに矛盾を孕みながら世界を覆い、いま大きな苦境に陥る思想の系譜を問う。

目次

まえがき/序章 問いなおされる自由民主主義/自由民主主義の苦境/普遍的な原理か/本書の課題と方法/グローバル・ヒストリー/I 形成/第1章 すべては国家から始まった/1 なぜ近代西欧から始めるのか/ヨーロッパの固有性/主権という概念/2 中世的世界の解体/中世ヨーロッパの特徴/トマス・アクィナスの思想/宗教改革/3 ホッブズの主権論/ピューリタン革命とホッブズ/機械としての人間/自然状態とホッブズ問題/主権の設立/絶対王政との関係/4 現代と主権論/シュミットの主権論/現代における主権/第2章 自由主義の誕生──主権をいかに統制するか(1)/1 市場という秩序/自由主義の成立条件/市場の思想史的意味/2 ロックにおける国家と社会/名誉革命とロック/ロックの人間論/自然状態/政治社会の設立/法の支配と抵抗権/ロックの思想的影響/3 スミスにおける国家と市場/富と徳──一八世紀思想の文脈/商業社会と国家/市場の道徳的基礎──同感の原理/4 自由主義の成立条件/なぜ近代ヨーロッパで自由主義が成立したか/自由主義と植民地主義/第3章 民主主義の萌芽──主権をいかに統制するか(2)/1 公共とは何か/正統性の源泉としての人民/公共という言葉/2 ルソーの一般意志論/独学者ルソー/自然状態からの堕落/文明社会の悲惨/一般意志の形成/一般意志にもとづく共和国/覚醒のシナリオ/3 カントの共和国論/学究の徒カント/人間の普遍的尊厳/目的の国としての共和国/覚醒のシナリオ──理性の公共的使用/4 自由民主主義の誕生/情念の力か、理性の力か/自由主義と民主主義の結合/II 危機と再生/第4章 自由主義への批判/1 一九世紀ヨーロッパの文脈/フランス革命の衝撃/工業化と都市化/2 ヘーゲルにおける市民社会と国家/ヘーゲルの思想的課題/法・道徳・倫理/家族と市民社会/自由の実現としての国家/民族と世界史/3 マルクスにおける資本主義と国家/革命家マルクス/ヘーゲルへの批判/上部構造としての国家/資本主義の矛盾/マルクス以後の展開/二一世紀の資本主義/第5章 民主主義への懐疑/1 共和政と民主政/民主政=衆愚政治という見方/一八世紀以降の変化/2 民主的専政──トクヴィルの民主主義論(1)/貴族の末裔トクヴィル/民主主義の再定義/多数者の暴政/民主的専政/3 民主的専政を抑止する条件──トクヴィルの民主主義論(2)/地方自治と自発的結社/言論の自由/4 大衆民主主義とトクヴィル/第6章 全体主義という破局/1 破局の時代/二つの世界大戦/全体主義という言葉/2 全体主義の起源/アレントの生涯/前史としての帝国主義/イデオロギーとテロル/大衆のメンタリティ/3 公共世界の喪失/三つの行為類型/公的領域の意味/近代世界と大衆の登場/4 アレントと現代/第7章 妥協の時代/1 自由民主主義の「普遍化」/西側諸国の体制イデオロギー/思想的な勝利か/2 自由主義の修正/戦間期の自由主義批判/イギリスのニュー・リベラリズム/ケインズとベヴァリッジ/3 民主主義の再定義/シュミットの議会主義論/シュンペーターの民主主義論/4 第二次世界大戦後の妥協/自由の意味変容/代表制民主主義への合意/III 分裂/第8章 新自由主義──リベラリズムの再構成(1)/1 一九七〇年代の転換/妥協から分裂へ/グローバル化と産業構造の変化/2 新自由主義の登場/ハイエク『隷従への道』/フリードマンの自由論/政府の役割──競争的市場の維持/3 自由の基底性/自由と無知/自生的秩序としての市場/不平等の是正は必要か/抽象的なルールによる権力の制約/4 新自由主義と現代/新自由主義の広がり/歴史認識との関係/第9章 ロールズの正義論──リベラリズムの再構成(2)/1 ロールズの登場/リベラリズムの哲学的基礎/規範理論の復権/2 正義の二原理/公正としての正義/原初状態という仮定/正義の導出/格差原理とマキシミン・ルール/3 正義論の射程/最大多数の最大幸福とロールズ/結果の平等を目指すべきか/機会均等とは何か/才能の格差は是正すべきか/財産所有の民主制/福祉国家との違い──「事前」の分配/4 正義論以降の展開/現代政治の対立軸/センのケイパビリティ・アプローチ/運の平等をめぐる論争/第10章 普遍性と差異──アイデンティティをめぐる対立/1 文化的対立の浮上/文化的リベラルと保守/ロールズへの批判/2 差異の承認(1)──コミュニタリアニズムと多文化主義/サンデルの「負荷なき自己」批判/物語的探求としての生/正義にたいする善の優位/コミュニタリアンの政治像/多文化主義/コミュニタリアニズムの射程/3 差異の承認(2)──フェミニズムの政治理論/ジェンダー中立的な制度の限界/リベラリズムによる家族の軽視/公私区分の問いなおし/積極的差別是正/ケアの倫理/正義論の修正/ケアと民主主義/4 差異をどこまで承認すべきか/リベラリズム批判と差異の政治/立場の分岐/新しい民主主義の探求/第11章 現代の民主主義論/1 代表制民主主義への不信/ポスト・デモクラシー/文化的保守とポピュリズム/2 正統性の危機/参加民主主義/ハーバーマスの「正統化の危機」論/生活世界の植民地化/3 熟議民主主義/二段階の民主主義/熟議とは何か/制度化の試み/4 闘技民主主義/ムフによる熟議民主主義批判/対抗性と左派ポピュリズム/5 現代民主主義論の課題/熟議と闘技の関係/分極化/第12章 グローバル正義論/1 自由民主主義の適用範囲/国家を超える諸問題の噴出/ロールズによる正義論の再構成/グローバルな正義をめぐる論争/2 普遍的正義としての人権/普遍的な正義を語れるか/ポッゲの「グローバルな制度的秩序」批判/人権とグローバル資源配当/3 諸人民の法/正義論と諸人民の法/理想的理論/非理想的理論/4 国民という共同体/特別な関係としての国民/グローバルな救済責任/5 自由民主主義は普遍的か/終章 自由民主主義のゆくえ/自由主義と民主主義の結合(第I部)/危機と再生(第II部)/分裂の時代(第III部)/自由民主主義は生き残れるか/国家と市場の拮抗関係/多元性と公共性/歴史にもとづくパトリオティズム/欧米の経験を超えて/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

O次郎

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流石田中拓道先生という内容。自由民主主義の歴史的発展と結びつきの過程、現代における課題まで非常にわかりやすくかった。第Ⅲ部は中公新書「現代民主主義」を思い出させる内容で、現代における民主主義思想の発展と思想的対立や格闘が分かりやすい。自由民主主義思想は西欧で発達したものであり、実際に現代で実現できているのも僅かな例外を除けば全て日英米独仏などの元帝国主義国家においてとなっている。その特殊性と責任を負うべきという議論にも考えさせられる2026/03/17

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