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内容説明
そこは「やさしい殿さま」が支配する「やさしい村」。
しかしある日、村の人々はその暮らしに疑問を持ち……。
日本児童文学の歴史を変えた、ディストピア×時代小説(初刊1968年)。
多くのリクエストを受け、待望の復刊です。
〈カバーイラスト〉小宮りさ麻吏奈
〈カバーデザイン〉真田幸治
〈解説〉蛙坂須美
***
かつて少年少女読者に戦慄をもたらした、児童文学の異色名作を復刊する中公文庫のラインナップ
鈴木悦夫『幸せな家族』(2023年9月)
那須正幹『屋根裏の遠い旅』(2025年12月)
に続く第3弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
433
話の筋自体はシンプルで、いかにもジュブナイルしているのに、今になってこそ際立つ風刺のエグさと、「やさしい」という表現の巧さや、擬音のチョイス等々、言葉選びが絶妙で雰囲気満点。粗がないわけではなく、なぜ山を越えると急激に老化するのかや、名前だけしか出てこない瘠一郎の中途半端な立ち位置は、もう少しスマートに話に馴染ませて欲しかったところ。初版が一九六八年とのことで、ほぼ六十年経った今読むと衝撃強いが、当時は横溝正史に影響受けたこの手の作品は、溢れて埋もれてしまっていたのかも。一度掘り下げてみたい。2026/04/26
あたびー
21
1968年初刊で「幻の名作」と言われた本が本年文庫化され復刊したもの。とんでもないディストピア小説である。ちょんまげとかさむらいといった言葉を使い時代小説のような糖衣を着せているが、紛うことなく現代にまで通じている問題を提起している。「やさしい国」には姿を見せない「やさしいお殿様」と「ユメミの実」を栽培するサムライたちの家族しか住んでいない。全員脚が不自由だが、それは人為的に施されたものである。怖ろしい山んばの住む山に行かなくて済むように。そして一定数以上の住民は花畑の肥やしになる…2026/06/26
KAKO
18
「やさしい殿さま」が支配する「やさしい藩」。貧しい藩の唯一の特産物は、飲むと勇ましい戦の夢が見られる真っ黒い「ユメミの実」。しかしその実態は…村に隠された残酷な秘密とは。読み友さんの感想から手に取ったが、かつて少年少女読者に戦慄をもたらした、児童文学の異色名作を復刊、って、これ、ほんとうに児童文学?最初から不穏な気配。にこり、にこり笑う村の実力者。ずるずる、ずるずる這って移動する女。ころり、ころり、転がる首。とにかく擬音が気持ち悪いことこの上ない。「やさしい」という言葉さえも不気味。こんな本があったとは。2026/05/12
his
9
やさしい御殿様のいる、やさしい藩の話。ぎっちらぎっちら歩く池之助。ずるずるずるずる這い回るゆり。おみよを「やさしいむすめ」にしてくれると言う。序盤から何が何かわからないのに、不穏さしかない。山には山んばがいるから、登らない様にという計らい。ユメミの花という、くそほど怪しげな草を近隣諸国に売りさばいてる居る模様。怪しさしかない。なんというデストピア。時代小説とはあるが、これは現代の物語だ。昔昔で語られる寓話ではない。令和を生きる人間にこそ、その心に問われた方がいい。1番怖いのはこれが児童文学ってところ。2026/04/05
げんなり
6
最近の流行りだと、これはホラーですというおすすめをしてもいいかもしれない。児童文学としては、おそらく当時からかなりとんがっていたものだろうと思う。ディストピア物でもある。時代物っぽくもあるけれど。 まあ、個人的にはタイトルと帯の惹句で、あららららとは思ったのだけど、読んで良かった。抜群に面白い! ジャンル分けには本当は興味はないのだけど、本作の終わりの『おしまいに……』にある「(登場人物の一人は)子供の心を持っていた。」の部分を読んで、まずは児童文学として読み解くべき作品なのだと思った。2026/02/23




