中公新書<br> 明六社 森有礼、西周、福澤諭吉らが集った知的結社

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中公新書
明六社 森有礼、西周、福澤諭吉らが集った知的結社

  • 著者名:河野有理【著】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 中央公論新社(2026/02発売)
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  • ISBN:9784121028969

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内容説明

森有礼、西村茂樹、西周、加藤弘之、中村正直、福澤諭吉ら錚々たる顔触れが集った知的結社・明六社。本書は、彼らの議論を通して、明治の思想を描き出す。政体、宗教、社会などに関するビジョンや論点を照らし、その内実を照らす試み。

目 次

はしがき

序 章 明治六年の東京物語
土佐の少年、備中の中年女性/論争の海へ/活動のはじまり/「啓蒙」というレッテル

第1章 「ふたり」をつくる/「みんな」をつくる――森有礼と西村茂樹
公私での苦難/後の華麗なキャリア/「哲学的な論争者」という可能性/「妻妾論」への誤解/森の論点/理想の夫婦という秩序/妾と養子/家と血筋をめぐって/「妻妾論」の実践とその帰結/藩の人/「賊」と「民」/「転換説」/「政府与人民異利害論」――「民権」と漸進主義という二つの焦点/「不平の気」と議会制――明治の保守主義の先駆者/「一身にして二生」/「道徳会」の構想/「なかま」としての社会へ

コラム①歴史と革命―― 箕作「兄弟」
血縁なき二人/麟祥と翻訳/秋坪と教育

第2章 「国のかたち」をつくる、「国」を開く――西周と津田真道
升子の不安/西周の鬱屈/「大君のモナルキ」と「改革之機」/学者職分論論争/応用哲学のこころみ/情実・秘密・愛敵/料理と国学/歴史意識と国家論――「日本国総制度」と徳川合衆国/公議所での活躍/「文明」と欲望を捉える/自由貿易という論点/それぞれの議論のスタイルと政策論/それぞれの死

コラム②統計と国家――杉亨二
苦学からの立身出世/統治と為政者への関心/歴史とデータ

第3章 「宗教」をめぐって――加藤弘之と中村正直
近代日本初のアンチ・フェミニスト?/学者貴族としてのプライド/蕃書調所・開成所/国権論と国富論/民選議員論争/国家と宗教「米国政教」/女子師範学校での一光景/江戸のメリトクラシー/『西国立志編』/『自由之理』/政治と道徳/論争好きの加藤、争わない中村

コラム③紙幣と市場――神田孝平
明六社「通信員」・神田孝平/金融財政政策と議会論/陸奥宗光と異なる歩み

第4章 演説する/翻訳する 福澤諭吉と阪谷素
暗殺の季節/『自伝』の沈黙と「大君のモナルキ」/手段としての明六社/営業戦略としての論争/議論への不信/久坂玄瑞との思い出/旅と漢詩/「孔孟の道」の延長線/欲望と気力/儒者から見た政治/会議・公論/演説・翻訳/「自由」のエネルギー/その後

終 章 「社会」とは何か
「概括力」/竹越三叉とコペル君のまなざし/明治八年の停刊/勝海舟と福澤諭吉の対面/「交際」という理念

後書き
研究案内
参考文献
略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

136
明六社の名は高校の日本史教科書以来だが、単なる知識人集団でなく論壇の先鞭とは初耳だった。参加者は儒学と漢文を基本とする江戸時代の教育を経て西洋の学問知識を受容した面々ばかりで、反対意見の主張者は暗殺するのが普通だった幕末維新を経験している。当然、文明国家で内戦やテロは許されないと身に染みており、公の場での議論や演説により世論を形成する欧米のスタイルを定着させようと試行錯誤していたのだ。その意味で啓蒙団体ではあるが、知識人の議論を通じて知性を広めることで「社会という大きな学校」を作りたかったのではと思えた。2026/04/10

MUNEKAZ

19
「一身にして二生」。福沢諭吉の著名な言葉が表しているように、徳川幕府の崩壊と明治の御一新はそれまでの人生が一変するような鮮烈なもの。そして、そのど真ん中にいた当時の気鋭の知識人たちが結成したのが明六社。儒教的な徳目や道徳と、新たに入ってきた西洋の思想をいかに結び付け、議論し、人々に示せるか。本書は対比列伝の形式で、明六社での論争を再現し、明治の論壇の最初期を追体験できる。やわらかい筆致だが、中身は濃い。ただ本書から明六社の多様性はよくわかるが、組織の全体像は語られず、散らかり過ぎた内容にも思えるかな。2026/05/08

どら猫さとっち

12
明六社。明治期に福澤諭吉、森有礼、西周、加藤弘之などが集まった知的結社。彼ら知識人たちは時代と切結ぶ多様な主張を繰り広げた。家族や宗教、社会などを議論し、啓蒙とは異なるものだった。明六社がどんな議論を展開し、明治期の知性を広げていったかを、本書で追った。現在の感覚からすれば、明六社は知的ボーイズクラブといった趣旨なのだろう。2026/03/28

iwasabi47

9
“啓蒙”組織と言われる明六社。属する知識人達は幕末維新期を潜り抜けた中年~老年に架かる人達。儒学国学を礎に持ち儒者・累代藩士や一代限りの幕臣(メリトクラシー)。その彼等の経歴と主張を対比列伝形式で読み解く。啓蒙一枚岩ではない彼等がなぜ“社会”するのか?“客分”だった被支配者が支配者“治者”にかわれるのか(江藤淳みたいで嫌だなw)?渡辺浩『自由~』本に繋がりそう。「西国立志伝」の“立志”は陽明学から来てるとか、中村がミルと反対意見とか面白いな。2026/03/05

馬咲

8
しばしば西洋文明の単純な案内人とされてきた明六社の人々の議論について、各々の生い立ちと知的遍歴の違いに着目しながら概説する一冊。江戸時代の知識人として、基礎教養の儒学や国学の語彙を介して西洋思想を摂取した彼らが、「文明開化」の内実を多角的に問う深い問題意識を有していたことを理解する。個人的には、中村正直のミル『自由之理』の翻訳に表れた儒学的素養故のバイアスを捉え、ミルの紹介者だった彼が政治と道徳の関係(リベラリズムの思想的淵源)を巡って、実際はミルの思想と鋭く対決していた痕跡を指摘した部分が白眉だった。2026/04/10

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