内容説明
「もし無意識にながれる涙がそのせいだとしたら、ぼくはその場所へ行ってみたい気もする」〈ルカチカ姉妹〉のユニット名でクラフト作家として活動する明日と千日。幼いころに母を亡くすも、風変りな大人たちに囲まれて暮らす賑やかな日々。複雑なファミリーツリーも、不完全な世界でぼくたちが大人になるまでを見守ってくれるやさしい森だった。ある日、二人が参加したクラフトイベントで「偶然」出会った、一人の女性。彼女が空白だった記憶の断片をつなぎ、運命を動かしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
50
ファミリーヒストリーと捉えれば良いのでしょうか。チカの出生の秘密が少しずつ明らかになっていきます。優しくて寂しい物語の色彩がじんわりしました。チカはあたたかく見守られてきたのですね。蝶や花の話題が多いのもほっこりします。さらさらと読めますが、好きなエッセンスが沢山詰まっていました。2026/03/05
雪丸 風人
22
謎だらけのストーリーにいい意味で酔うわ~。主人公は六つ上のルカと仲よくフリマ出店するチカ。普通の姉妹に見える彼らには、人には知られたくない秘密がありました。なんてややこしい関係性!重層的に描かれる性別のオーバーラップ領域に浸ることで、今まで内包していた心の壁がぼやけるような不思議な感覚に陥りました。四角四面に定義せず、自然に、あるがまま、かつ、あいまいであってもいいという価値観は新鮮でまぶしいですね。例の“擬態”は誰かのために始まったという説が最も素敵でしっくりきましたよ。(対象年齢は13歳半以上かな?)2026/03/05
わんつーろっく
20
複雑な血縁関係と色々なジェンダー観を持つ登場人物。この小説の世界観をどう読み取ったらいいのか、彼らのこだわりが面倒に思えてきて、楽しめなかったというのが正直な感想。2026/05/28
toshi
17
チカの出生の秘密が徐々に明らかになって行く物語。 とにかく登場人物が多いうえ、彼らの関係が複雑に絡みあっていくので、メモを取りながら読まないと理解が追い付かない。 モブキャストかと思っていたら、重要人物だったりするので油断できない。 長野まゆみは面白いか全くつまらないか‥と言う感じだったけれど、これは普通だった。 ノエとルカがやってるスポーツがローイングと言うところが嬉しい。2026/03/03
さく
14
登場人物たちの関係が複雑なのに名前は似ていて誰が誰やらぜんっぜんわからない。理解することを放棄して、揺蕩うように読み進めた。会話の空気感が、長野まゆみさんだなぁ、とほっこりする。生き物たちの豆知識が増えて楽しい。ライラックはイボタノキを台木にして育つ。ウラゴマダラシジミはイボタノキの葉を食べる。エルタテハとシータテハは、翅にあるLとCの模様で見分ける。プラチナボーイは、雄の蚕の卵だけが孵化するよう改良された品種。雄は産卵しないので雌より糸の質がいい。2026/05/21
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