内容説明
高校時代の同級生五人――三十代後半になった彼らの人生は、一人の自死をきっかけにして、さまざまな挫折や変貌や再出発を強いられていく。宗教二世、小説家、主婦等々、五人それぞれの生きることの迷いと歓びと傷、そして再生への切なる希望を深い声で語り、無常観の果てにある祈りの旋律が鳴り響く著者真骨頂の感動作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
126
最終の菜乃子の章に行きつくまでは「嫌だな・・こんな5人は」と思っていた。それでも私の身体の隅々でカチッと嵌りあって、文字になった感情に苦りつつ読んでいた。なのに・・菜乃子を表す芍薬も、彼ら5人の生きた歳月も「ごめんね」と「ありがとう」の光と闇の狭間に揺られ、全ての終息と安寧の着地を感じた最終章。あぁ、これは反則じゃない窪 美澄?と正直思った。死んでもまた死にたくなるのに明確な答えを知る人はいるだろうか。今になってもなお月に例える関係なんて。でも、本作は私の好きな窪美澄だった。2026/04/13
itica
66
高校で知り合った男女5人。大学は別々だが社会人になっても関係は続いている。しかし中心にいた菜乃子が亡くなったことで、保たれていた均衡が崩れた。あんなに仲の良かった彼らは、それぞれ胸に秘めていたことがあったのだ。菜乃子の死に影響を受けながらも彼らの日々は容赦なく過ぎて行く。ひとりひとりにスポットを当てた連作短編は、最終の「芍薬と星月夜」で実りの章、希望の章になる。静かに穏やかに。 2026/04/08
キキ
23
高校の仲の良かった男女5人、その中の1人菜乃子の自殺から始まる。達也、健太、沙耶、倫子、残された4人それぞれが色々な事情を抱えそれでも最後まで生を全うする姿がとても印象深く、それぞれの心の動きがとても緻密で逆に辛かった。気持ちが元気な時に読むのをお勧めします。生きているだけで十分、死を選ばなくても人の人生なんて長いようで振り返ればほんの一瞬、どうせ一瞬なら笑顔の多い人生でありたいと思う2026/04/03
桜もち 太郎
17
「菜乃子が死んだってよ」そんな一言で始まる物語。高校の元同級生である男女5人グループの一人が自死によって欠けた。物語は40歳近くになった彼ら一人一人の追憶だ。彼らの思いは深く、残った四人ごとに分けられたパートは読みごたえがあり、吸い込まれていきそうになった。本の帯には「至上の最終章」とある。この章に入る前まではとても良かった。それぞれが齢を重ね、菜乃子を思い出すのはいい。しかしこんな章になるなんて想像もできなかった。はっきり言ってとても残念な気持ちになってしまった。賛否が分かれる章になりそう。う~ん・・。2026/04/08
水色系
14
新刊長編。仲の良かった同級生が30代で自死、残された者のその後の人生を追う。多かれ少なかれ皆菜乃子(故人)の影響を受けていて、人って生きている時はもちろんなんだけど死んでもなお続く関係性ってあるなと思った。2026/03/31




