ちくま文庫<br> 風に吹きはらわれてしまわないように

個数:1
紙書籍版価格
¥990
  • 予約
  • 電子書籍

ちくま文庫
風に吹きはらわれてしまわないように

  • ISBN:9784480440723

ファイル: /

内容説明

1979年夏、44歳の「作家」が、1940年代のアメリカ・オレゴン州での少年時代を振り返る。貧困の中での生存と気晴らし、池の端にソファやランプなど家具を並べて釣りをする夫婦、22口径の拳銃が起こす悲劇、少年の心に落とされた影……。幻想的な光景と死の匂い、風に吹きはらわれてしまいそうな人びとの姿を物語に描き、作者が生前最後に発表した小説。1985年に刊行され品切れとなった後、傑作と評価されながら入手困難となっていた『ハンバーガー殺人事件』を原題に沿って改題、訳者があらたに訳しなおし、復刊文庫化。

目次

風に吹きはらわれてしまわないように/訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

市太郎

27
ゆっくり読もうと思ったのだが一気読みしてしまった。驚いたことに普通に面白い。ブローティガンらしくなく、かなりまともな物語と言える。いつもの寂しい空気感は健在だが。ハンバーガーを重要なアイテムとしているところはこの作家らしさか。釣りのじいさんが食べるシチューが不味そうで最高。ブローティガンはこの作品を最後に自殺するのだが、これを書いてる時はどんな想いがあったのだろう。アメリカを批判しているようにも思えたのだが。少しの優しさがあるならば、何よりも子ども達を愛して欲しい。どんな時代でも。ハンバーガー大好きです。2025/12/31

そふぃあ

20
池のほとりに住んでいたじいさんの話(p86辺り)がとても心にささって反芻している。人間誰しも若い頃があるはずなのに、まるでじいさんは世界が始まったときからじいさんのようで、それは私自身もいずれそうなるから心に刺さったのだ。老いたとき、自分の若い頃を覚えている人が誰もいない。その時に私は何を思うだろう?本書はブローティガン生前最後の小説である。虚構と事実の狭間にあるようなこの物語で描かれるのは、あの日銃を買った後悔であり、思い出は否応なく悲劇に収束していく。まるで作者自身の自殺方法を暗示しているようだった。2026/01/12

メセニ

16
6/10。一度放たれてしまった弾丸はもう二度と元には戻らない。あの時その店の前を素通りしていたならば。あるいは欲しいのがハンバーガーであって、弾丸ではなかったなら。食欲などなかったけれど…。この先ずっとハンバーガーを想い続けるだろう…。過去の悲劇と死の匂い。永遠に拭い去ることのできない後悔。ユーモアに隠れた憂鬱とペーソス。だから彼は物語を続ける。アメリカのつちぼこりを、風が吹きはらってしまわないように。風に吹きはらわれてしまいそうな私たちのために。2026/01/26

ぼむ☆

14
弾丸を買ったことじゃなくて、ハンバーガーを買わなかったことが人生の分岐点として使われているところが絶妙である。日常と隣り合わせにある死、それが当時のアメリカ。その中で思春期を生きる少年。大人も虚空を眺めて生きている。寂しさ、虚しさを感じながらも大人と少年のふれあいの温もりも感じる。悲劇なのにさりげなくて、泣かせようとしない。リアルの中に幻想的なところもある。リチャード!この小説も素晴らしいぞ!風が吹いてもこの読書体験は吹きはらわれないようにするからな。2026/01/26

おいしい西瓜

8
ある時期以降のブローティガンの小説はどれも絶版になっていて、amazonの中古本が高値だったから(今見たら3万円のものもあった!)買うのをためらっていた。だからこの小説が再出版されているのを見つけたときは嬉しくてすぐ注文した。それでこの小説を楽しみに開いたのだけれど、読んでいると動悸がしてきて、あの子供の頃に感じた不安がよみがえってくるようで、それはブローティガンの語りのリズムのせいなのだけれど、たぶんブローティガン自身が感じていたであろうその不安が、2026/01/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/23004702
  • ご注意事項

最近チェックした商品