暗黒の瞬間

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暗黒の瞬間

  • ISBN:9784488011598

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内容説明

30年以上のキャリアに幕を引くことを決意した、ベルリンの刑事弁護士エーファ。凄腕で知られる彼女は、多くの忘れがたい事件を手がけてきた。11人が被告人となった裁判で1人だけ無実の者がおり、全員がそれは自分だと主張している。1人を救うため10人を無罪とすべきか。厄介だがよく議論される類の事件だと思われたが……。ひとつの証言、発見、弁護活動でその姿が一変する平凡な裁判、そして異常な裁判――。驚異の新人による、息を呑むような完璧なる連作短編ミステリ!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ケンイチミズバ

61
弁護士と顧客の関係でなく、軽いアドバイスのつもりが、まさか。法の解釈について口にしたことが巧妙にも利用され若者が死んだ可能性がある。うかつだったかも知れない。バカンス中はメールを見ないと夫に約束し、ロッカーに鍵をかけたのに罪悪感と正義感が彼女を動かす。手遅れと及び腰の検察、スクープをものにしたと喜ぶ新聞記者、しかし、思いと裏腹に移民排斥がトレンドの時節柄、世論はSNSは犯人の親族まで追い詰める声を高める。ラストはまさにシーラッハのテイスト。欧州の暗い分断への嘆きも見える。法は時に悪人を守ることもあるのか。2026/04/03

ゆのん

37
冒頭で弁護士を引退しようとしている主人公。その弁護士が手掛けた事件を振り返る物語となっている。普通に生活しているとお世話になる事のない弁護士。出会いのは小説の中だけだが、概ね弱者の味方、正義を貫くというイメージ。もちろん依頼人の利益を護る訳だが、それを利用する人達がいる。そんな依頼人を引き受けた弁護士はどうするのか?結果、犯罪者を野放しにし、無実の人を監獄に送る事になったとしたら?正義と悪、理想と現実の狭間に立たされる主人公。イメージとは違う弁護士にモヤモヤ感が残ったが、夢中で読んでしまった。2026/03/06

アイシャ

33
とても読み応えがあり、かつとても面白かった。作者さんだけでなく、翻訳者の方の技量も高いお陰で、とても読みやすい。60代の女性弁護士エーファ・ヘアベアゲンが弁護した9件の事件がミステリー仕立てで描かれている。依頼人を罰から守ることを第一に考える彼女は、過度にやる気があるとも言われている。担当する事件と距離を置けなくなった過去のある事件も赤裸々に語られている。依頼人の有利になるようにとした事が必ずしもそうはならない仕事の難しさ。そして彼女がどうしても許せなかった事件に再チャレンジする。それはどの事件か2026/03/18

ヤジマ

28
主観点 9.8/10 著者のデビュー作。正義感に満ちたヘアベンゲン弁護士の活躍を描いた短編集。著者が法の専門家であるということで、類稀なるリアリティに富んでいる。法を逆手に取ったようなどんでん返しが散りばめられ、更には翻訳も良く、大満足の一冊だった。凄い題名だけど、「強姦」が個人的にはお気に入り。題名が題名だけに残酷な話でもあるが、決してそれだけではない。法の穴を突いた親族の逆襲は痛快ですらある。そして何より信じ難いのは、これが母親の図書館本であるということ。低い打率で、時に尋常じゃない一撃を放ってくる。2026/03/27

M H

27
作者の出身、経歴、短編集という形式からどうしてもシーラッハを連想するがもちろん別物。個々の短編の衝撃度が高く、法律とその限界、そこと重なり合わない倫理が強く意識される。「塩」「強姦」あたりが特に素晴らしかった。そして力量がありながらも疑問符がつくエーファの行動は連作短編集たらしめるもの。ただ、個人的にはラスト付近の流れは少し饒舌すぎるかなと。本当に事件そのものが雄弁で嫌になるくらい濃い闇、暗黒の瞬間。2026/03/03

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