小さくも重要ないくつもの場面

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小さくも重要ないくつもの場面

  • ISBN:9784560090923

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内容説明

いくつもの秘密は家族をどこへ連れていくのか

『マグヌス』で知られるフランスの著名な小説家が、互いの関係を模索する再構成家族の姿と秘密を詩的に描いた中篇小説。
幼い頃から母のいないリリは、赤ん坊の頃の自分の写真を見て、自分はいったいどこから来たのか、母はどこへなぜ行ってしまったのかと疑問を抱いてきた。父の再婚により、新たに四人の兄姉ができるが、継母ヴィヴィアンや異母兄姉との関係を模索しながらも心からは馴染めずにいた。
ある日、家族そろって出かけたピクニックで写真を撮るため、子どもたちはぎゅうぎゅうに身を寄せ合った。それが悲劇につながるとは知らずに……。
やがて兄姉たちがそれぞれの道に進んでいく一方、リリはどこへ向かえばいいのかわからず、左翼グループと共同生活をしてみたり彫刻に打ち込んでみたりするものの、どれも長続きせずさまよう。
タイトルが示すとおり、小さいがひとつひとつが何らかの働きや意味をもつ多くの出来事の連なりで構成されている。リリは愛する人を見つけ、自分の居場所にたどり着けるのか。知りたかった秘密は明らかになるのか。喪失を抱えながらも、時の重なりを感じ、自己や他者と向き合うことの尊さを静謐に描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

90
「翼の代わりに脚をつかう奇妙な鳥になって、リリは飛ぶ」。不確かな生と死に繊細な手でそっと触れながら、自己と家族の存在を見つめ続けた女性の物語。詩的であり哲学的でもある端正な文章に浸りながら、現在と過去を通しての人生への問い掛けと探求の意味を思考することが促された。父の再婚によって少々特異な家族構成となったリリ。血縁の無い家族との繋がりに不安と不満を持ち、自分を特色の無い覚束ない存在と思い込む。しかし、それぞれの人生と死との交錯は自らを構成する過去を受容させ、現在へと目を向けさせた。彼女の声が力強く響く。2024/05/30

ヘラジカ

46
複雑なのにとてもシンプルで、唯一無二でありながら普遍的、在り来たりとドラマティックが混在する儚くも美しい一つの”生”。実体感がないようでいて非常に生々しくもあるバルバラ(リリ)の人生をダイジェストで体感したかのようだ。自己や家族、親しい者や赤の他人、それぞれが「小さくも重要な」過去や語られない秘密を抱えて生きている。そんな当たり前のことに目を向けさせ、何か新しい感覚を見つけられそうな気にさせてくれる。大袈裟ではなく、こういう素朴な作品にこそ文学というものの真骨頂が表れるのかもしれない。2024/04/28

さくら咲く

30
翻訳物独特の空気感に浸った。フランスの富裕層を父に持ったリリ🟰バルバラ。実母との思い出はひとつも持たず血縁関係の無い4人の姉兄妹と継母が家族に加わる。その生活は心から許し合えるものでは無く、未来を示唆する様な事故をも招く。 書名が著している通り終始重い。主人公の人生にはもう一抹の光もあたらないのだろうか。読んでいて苦しかった。2024/06/21

ぽてち

28
人はどこから来て、どこに行くのか──。根源的な疑問を抱えた少女・リリの半生を描いた作品である。物心ついた頃には母はおらず、父は4人の子持ちの女性と再婚する。その後、家族や友人の死に直面するたびに、幼い頃からの疑問が再燃する。さらには、家庭や社会の中での自分の立ち位置がわからず、何事も中途半端に終わらせてしまうようになる。リリだけではなく継母や義兄弟にもいろいろと秘めた思いがあり一筋縄ではいかない。読みやすいが重い内容で、なかなか捗らなかった。2024/06/02

えりまき

18
2024(162)図書館の新刊コーナーで出会った本。「血のつながらない複雑な家族。それぞれが存在する裏にある秘密とは?」。「家族」について考えさせられる本。母親に捨てられ、祖母と父に育てられたリリ。父親の再婚、育ての母、母の4人の連れ子。アイデンティティーって難しい。 2024/06/13

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