内容説明
明治新政府軍の来襲で家族や友人を失った二本松藩の少年タキは、人並外れた強さをもつ怪しげな「キ」と名乗る一団に窮地を救われ、秋姫という目の見えない老女の家に匿われることになる。理不尽な命令ばかりする秋姫と衝突してばかりのタキだったが、やがて奇妙な絆が生まれ始める。だが、政府軍の魔の手が再び迫り……(「鬼婆図探訪」)。その他、人語を話す大猿が書いた幻の書「狒々日記」をめぐる回想と証言を描く「夢狒々考」、争乱と復讐に満ちたとあるキの激動の半生「最後のキ」など全四編を収録。若き民俗学者・鶯谷玄也が、文明開化と共に姿を消した歴史の闇に生きる集団「キ」の痕跡を追う連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
糸巻
28
民俗学を研究する鶯谷玄也が、かつて存在したとされた謎の集団〈キ〉の情報を求め各地を訪れる物語。4話収録の連作短編だけど、最後の掌編は内容としてはエピローグかな。二本松藩の少年部隊の一員だったタキが出会った盲目の老女の話『鬼婆図探訪』、人語を話し着物を纏った大猿・狒々(ひひ)が書いたという幻の書は存在するのか『夢狒々考』、〈キ〉の1人だと教えられた人物の激動の半生『最後のキ』。史実に沿って語られるから本当に存在したのかもと不思議な気持ちになった。そして最後に辿り着いた場所でのキ縁はまさに運命的。良かった。2026/02/15
かまる
20
文明開化と共に消えた謎の集団「キ」の痕跡を民俗学者と共に巡る連作集。鬼婆、狒狒、鬼と古来伝わる異型の者たちとの邂逅が描かれ、伝承と幻想が交錯する物語が紡がれていた。激動の時代、影に生きる者たちの儚さ、悲しみ、そして力強さを時の流れとともに巧みに表現されており、恒川光太郎の初期作品の雰囲気とそこに時代を超越した壮大さが物語を彩る。あぁ面白かった。れけど、総じて読みやすいのだが、ややライトな印象も残ったのは正直な所。狒狒の物語は無くても良かったと対談にはあったが読めて良かった。サイン本、大切にします。★3.52026/02/09
いかそうめん
14
「夜市」を彷彿とさせる、妖しくも美しい幻想的な世界観に一気に引き込まれます。異界の空気に浸った後に訪れる、恒川作品ならではの静かな無常感に満ちた結末が秀逸。「キ」とは結局何者だったのか。曖昧さがなんだか切なく、深い余韻にいつまでも浸ってしまいます。2026/02/11
美葉
13
発売を超楽しみにしていた。ジャガーワールドに続き、新刊が出るの早くて嬉しい!大好き!!! 時代モノは苦手だけど、恒川さんの作品なら読める。 帯に書いてある「狒々」ってなんだ?マントヒヒみたいな感じかな?と思いながら、読み始めた。 昔の話、現代の話、語り口を変えながら物語が進んでいく。普通なら散らかってしまいそうな形式なのに、魅力的に読ませてしまう文章力がすごい。短編集かと思っていたら、物語が繋がっていて、ラストがもう、恒川さんワールド全開!!!すごくよかった。また読もう。2026/02/04
ゆり
10
『ジャガーワールド』は面白かったけど少し自分には合わなかったところがありましたが、最新作は最後まで面白く読めました。キという独特の人たちが実際存在したかのような不思議な感覚になります。伝記を読んでいるような、蔵から見つかった古書を読んでいるような。最後は親子の愛に繋がるのもよかったです。何度か読み直して世界観をしっかり理解したい物語です2026/02/05
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