内容説明
デビュー作『月ぬ走いや、馬ぬ走い』で群像新人文学賞と野間文芸新人賞をダブル受賞した大型新人が、圧倒的な筆力で描く衝撃の長篇第一作!
暴力が支配する世界に、「ヒーロー」は現れるのか? 戦争の傷が刻まれたこの島で、新しい地図を描くための「戦い」がはじまる。
きみは沖縄に生まれ育ち、ウルトラマンに憧れるオタクになった。小中学校とエスカレートする「いじめ」を生き抜いたきみは、この島を分断する「壁」に向かって、ある「計画」を実行していく――。
沖縄の今を生きる少年少女と、80年前の戦場を生きた少年兵たち。ともに白紙のような彼らを呑み込んでいく巨大で残酷な暴力に、どう立ち向かうのか?現代と戦中戦後の時空を交差させて描く、鮮烈な青春小説にして、新しい世界文学の誕生!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
28
☆☆☆☆☆ 文体も、学生作家であることも、自分の出生地を深掘りしていることも、大江健三郎を想起させるが、実際に深く影響を受けているのは確かだろう。群像デビュー作の前作に劣らず、非常にレベルの高い作品。鈴木結生とともに今後の日本文学を切り開いていく作家だと思う。前作と同様、過去と現在がオーバーラップしながら語られていく構造、沖縄(うちなーんちゅ)語による根源的な語り、そして何よりも、沖縄の歴史的な背景を新しい文脈であぶり出そうとしている試みが、強く胸を撃つ。あまりに凄くて感想がうまく書けなかった。2026/03/02
信兵衛
17
その怒り、哀しみ、苦しみが一気に迸り、押し寄せてくる気がして、胸が詰まり、痛む思いがします。 本作は、行生を「きみ」と呼び、二人称で語られていますが、その記述方法が、彼らの気持ちを見事に浮かび上がらせているように感じます。 沖縄語が数多く使われていることも合わせて、効果的。2026/03/07
そうたそ
10
★★★☆☆ 現代の沖縄、戦中戦後の沖縄を交差させながら描く一作。作中全般にわたり、多用される沖縄言葉、そして"きみ"と語りかけるかのように綴られる二人称、更にアニメ、特撮、漫画等、様々なサブカル的固有名詞が挟み込まれる文章にはなかなか慣れることができなかったが、中盤以降、ようやく入り込めていった気がした。戦後、約八十年が経った。だが未だ沖縄という地に刻まれたものは何ら変わっていないと思わされる。サブカル的な固有名詞の数々にどこかポップさを感じる一方で、作品の持つテーマはとても重い。不思議な読み心地だった。2026/02/18
keisuke
10
ネットギャリー。前作を知ってはいたけど読めておらず、初読みの著者。視点が「きみ」「おれ」「わたし」と変わって最初慣れなかったけど、すぐ気にならなくなった。沖縄の今を生きる若者達と、戦時中の若者の物語が交差して進んでいく。弱者達の抵抗の物語。読んでいてひたすらつらい部分も。差別の意味では無いつもりだけど、やっぱり沖縄って他の地域とは違うんだなと強く感じた。ユッキーの趣味がドンピシャ好みで、友達になれる気がした。2026/01/27
二人娘の父
6
沖縄で生まれた作家が吐き出す言葉は、痛みとそれに伴うヒリヒリとして感触が、まるで我が事のように感じられる。随所に出てくるアイテム(アニメや映画)を知らないことが多いので不安になるが、物語の芯の所で触れられるものに影響はなかった。若き作家の苛立ちを、私は受け止めきれたのだろうか。いやいや、とてもではないが受け止められていない。そんな無力感を抱えながら読み終えた。2026/03/02
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