内容説明
比較ファシズム論の金字塔
戦間期ヨーロッパにおいてファシズムの牙城となったイタリア、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、スペイン。これらの諸国がたどった運命は何に由来するのか。
著者は、歴史家が忌避しがちなファシズムに関する一般理論の構築を歴史社会学の立場から試み、四つの基本的な社会的力の交錯物としてファシズムを理解しようとしている。
分析の焦点となるのは、政治体制としての「ファシズム」ではなく、運動もしくは人としてのファシスト、そして彼らの価値観に置かれ、しかもそれらが異常心理や未開への回帰ではなく、近代そのものの一側面を尖鋭に表現していると強調する。
注目すべきは、ファシズムの中間階級テーゼ、ないし下層中間階級テーゼとの対決である。本書が見出したファシズムの中核的支持基盤は、若い男性と国境を脅かされた地域の住民、そして公務員層だった。
近年、権威主義や極右ポピュリズムの台頭といった新たな問題が浮上してきた。歴史的パースペクティブの下に大胆な図式を提示している本書の意義は大きい。
【目次】
日本語版への序文
序
第一章 ファシズム運動の社会学
第二章 戦間期の権威主義とファシズムの台頭を説明する
第三章 イタリア――元祖ファシスト
第四章 ナチズム
第五章 ナチズムに共鳴した人々
第六章 オーストロ=ファシズム、オーストリアのナチ党
第七章 ハンガリーの権威主義諸派
第八章 ルーマニアの権威主義諸派
第九章 スペインの権威主義諸派
第十章 結論――ファシストの生死を問う
監訳者あとがき
解説(平田武)
付表
註
文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
35
先日、経済学者による緊縮資本主義とファシズムの台頭について読んだところなので、社会学者によるファシズムの本も手にしてみた。こちらもやはり歴史的背景をきちんと説明したうえで、ファシズムの台頭のメカニズムについて説明している。怖いのは、この本で紹介される「主観」が著者の気持ちではなく、「ある民族の気持ちの代弁」なところだと思う。ファシストをみんなで協力して作っている感じがして恐ろしかった。…2004年にこういう本が書かれていた…うん、アップデートを求む。2025/12/18
pushuca
3
豊富な史料を駆使して書かれた質量共に充実したファシズム論。全体像を精密に描き出す事に成功している。2026/03/29




