涙の箱

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涙の箱

  • 著者名:ハン・ガン/きむ・ふな
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 評論社(2025/09発売)
  • 寒さに負けない!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~2/15)
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  • ISBN:9784566024892

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内容説明

ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話
この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して

 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。
 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。

「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。
 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。
 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。

「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。
怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。
……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は
純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、
いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」
―本文より―

涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ

282
哀しみから零れ落ちる涙は、やすらぎに満ちてとけていく。枯れてしまった潤いはどんなに苦しんでも戻ることはない。雨が降り続いているのに、流れていくこともできない。消えた一雫、そこに込められた願いは、眠る思いは、固く結ばれた包みを紡ぎなおして、解き放たれる。きっと輝きを取り戻す、あの日を忘れないために。赤、青、黄、それぞれの感情が混ざり合うと何色になるのだろう。読者にそっと語りかけてくる。明け方には青い鳥がきらめいている。どんな涙色なのだろう。影に灯る光は、この世界を何色に染めるのだろう。感性を刺激される一冊。2025/08/30

旅するランナー

221
ノーベル賞作家による大人のための童話。世界初翻訳。涙つぼと呼ばれる女の子、涙を集める男、影の涙、青い明け方の鳥…予想外の瞬間に私たちを救うために涙が訪れます。junaidaによる静謐な装画·挿絵も素敵です。涙の数だけ強くなれるような、このファンタジー小説には読む人への浄化作用があります。2025/10/11

とよぽん

165
ハン・ガンさんの新作。Junaidさんの挿画も素晴らしい。涙を流して泣く・・・生まれてから死ぬまで、人はどれだけの涙を流してその感情を越えていくのだろう。言葉を話せない赤ちゃんは、泣くことが意思伝達の手段であり、それは言語の獲得によって減少していく。幼児は、恐怖や怒りや不満など感情表現の手段として頻繁に泣く。大人は? 作者が「純粋な涙」「影の涙」と名づけて涙を区別していることが重要な意味をもつように感じた。味わい深い詩的な物語で、読み手によっていろいろな受け止め方ができる作品。2025/09/26

☆よいこ

153
YA。jyunaidaのイラストがぴったりな大人のための童話。「涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり」▽いつも泣いてばかりいるので〈涙つぼ〉と呼ばれた女の子がいた。ある日、黒いおじさんがやってきて「涙を売ってほしい」という。女の子はうまく泣けなくなった。おじさんは山の向こうに涙を売りに行くというので、女の子はついていく。おじさんの鞄には様々な涙がしまってあった。山の向こうに住んでいたお爺さんは、売ってもらった涙を使い、泣いた▽悲しみのエピソードはつらいけれど、優しい癒しの物語。2025.8刊2025/10/14

ちょろこ

122
「涙」を描いた童話の一冊。"涙つぼ"と呼ばれる孤独な子どもが涙を集めるおじさんと旅をし、涙と心を繋ぎ紡いでいく物語。終始、心が凪いでいくような穏やかな読み心地がいい。さまざまな感情を少しずつ心に蓄えながら、一度も泣いたことがないお爺さんと出会う子ども。影の涙、純粋な涙の描き方は美しさと優しさの混じり合いが静かに心を震わせた。無色透明な一粒にも色とりどりの色彩が、感情が凝縮されていることを思うと愛おしくなる。大人だって泣いてもいいよね。飾って眺めて読んで…涙に心なでなでされる日が待ち遠しくなる、そんな作品。2025/10/30

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