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内容説明
大国と隣り合う朝鮮半島の王朝は、シビアで「ややこしい」国際関係をいかにして生き抜くことができたのか? 侵略の被害や大国への従属、事大主義のイメージが押しつけられがちな朝鮮史を刷新。中国・日本・周辺諸国との緊張と交流の紆余曲折を読み解き、朝鮮の王朝国家の躍動的な国際関係の歴史を描き出す。本書では、七名の専門家達が、古代・高麗・朝鮮時代の特徴や面白さを時系列に沿って語っていく。図版も数多く収録。現代の困難を乗り超えるヒントが満載。専門性も兼ね備えた最良の朝鮮史入門!
目次
はじめに――ややこしくも豊かな国際関係へのいざない
第1部 古代
第1章 古代史の概観
第2章 二正面作戦を回避せよ!――古代東アジア世界における高句麗の外交・軍事戦略
第3章 拝借とオリジナルのあいだ――5・6世紀の百済における南朝将軍号と官位
第4章 国内統合とディアスポラ――統一新羅の統合政策と百済・高句麗遺民問題
第2部 高麗時代
第5章 高麗時代史の概観
第6章 地域限定の天子?――高麗の君主は皇帝なのか王なのか
第7章 「華風」好みのリアリスト――高麗王朝の外交と文化意識
第8章 はじき出されず、呑み込まれず――モンゴル帝国の覇権と高麗
第3部 朝鮮時代
第9章 朝鮮時代史の概観
第10章 侯国外交のアポリア――朝鮮王朝の事大と交隣の両立
第11章 忘れられた真実――朝鮮・後金関係と「交隣」の行方
第12章 外国商人は入るべからず――朝鮮後期の国際通商
むすびにかえて――そして“ややこしさ”は続く
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
19
三国時代から朝鮮王朝までの朝鮮半島外交史。日本人の名からは時にややこしく、時にひたすら中国などの大国に「事大」するだけの単純なものに見えてしまう半島諸王朝の外交だが、執筆者たちは、それは見る者の理解が追いついてないだけだと言う。各時代の外交、あるいは国の成り立ちの諸相を丁寧に追っている好著。宋代に大陸自体が諸勢力に別れる中で時に皇帝を称するなど「僭擬」を行い(ただ、それも必ずしも一定してなかったようだが)、その後モンゴル政権が成立すると、巧みに立ち回った高麗のあり方が興味深い。2026/01/19
電羊齋
14
三国時代から朝鮮王朝までの朝鮮半島外交史をさまざまな角度から照射している。統一新羅時代の新羅・渤海・唐・日本での高句麗・百済遺民の動向とその存在感、東アジアにさまざまな王朝が並立した宋代に皇帝を称したり、元朝に対して「はじき出されず、呑み込まれず」立ち回った高麗、明に対する「事大」とその他隣国との「交隣」の両面による外交政策を「礼」・「天」・「誠信」などの論理で裏付けていた朝鮮王朝など興味深い内容が多い。これまでの「ややこしさ」、「事大主義」などの一面的イメージを覆す新しい研究が反映されている好著。2026/01/25
MUNEKAZ
13
前近代の朝鮮外交を再評価した論集。「事大」の一言で済ますのではなく、中華王朝や遊牧帝国、日本、琉球といった様々なアクターが乱れる北東アジアで、朝鮮半島の各王朝がいかに独立を保ってきたかに迫る。「ややこしさ」という言葉が副題にあるが、大国の狭間でどちらかに飲み込まれることなく、国家としてのアイデンティティを保っていくかは、実に繊細でかつ綱渡りのようなもの。たった一言で隣国との関係が悪化し、とくに打つ手も無く選挙にかまけてる我が国のことを思いつつ、どうしても自分事として読めてしまう。2026/01/26
nishiyan
10
古代、高麗時代、朝鮮時代と3つの時代区分を設定することで朝鮮歴代王朝の外交史を七人の専門家が論じた新書。一番興味深かったのは高麗時代である。金を滅ぼしたモンゴル帝国こと元の皇室と結びつきを強めることで、生存を図る戦略は面白い。元特有の政治制度や文化を逆手に取って浸透するやり方は強かであり、日本との関係も上手く利用していることには感服した。大国だけでなく、異民族の脅威にさらされてきた朝鮮歴代王朝の生存戦略はその時その時で変化しながら、洗練されてきたわけだが、最後の最後で悪手を打ってしまったように感じた。2026/02/10
蝉の一生
1
海に守られた日本とは比較にならない厳しい立地にあって、幾度も他民族に首都を蹂躙されながらも、綱渡りの外交でよくぞ国を維持してきました。そして、古代日本の外交史は、朝鮮半島の事情なくしては、理解しえないことがよくわかりました。先に読んだ「古代日中関係史」(河上麻由子著)でも同様に感じましたが、大陸のはずれにある日本の交流史は、相手国の都合の文脈で初めて理解できるものであるように思えます。また、高麗王室でモンゴル民族の血が濃くなっていったことには驚きでした。2026/02/09




