内容説明
世界的振付家・久我一臣にインタビューをすることになった、編集者の水野果耶と記者の長瀬一平。久我の半生を辿りつつ、戦前戦後の日本バレエを紹介するつもりだったが、彼が語る過酷な戦争体験は、二人が思ってもみなかった縁を掘り起こしてゆく。芸術と戦争を通し、過酷な運命に希望を見出す人々に迫った、入魂の輪舞曲(ロンド)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
127
『名振付家、久我一臣』の下へと取材に訪れる長瀬と果邪。この作品には、そんな二人が久我から聞くことになった先の大戦、そして戦後も長く続いた『シベリア抑留』の陰惨な日々を赤裸々に記す物語が描かれていました。『バレエダンサー』という生き方のリアルを見るこの作品。戦争が終わった後も何年も続く『シベリア抑留』という信じがたい史実に心が掻きむしられるこの作品。複線で描かれていく物語を結末に向けて一つに紡ぎ上げていく村山由佳さん。そんな村山さんがこの物語に込められた思いの深さにどこまでも圧倒される素晴らしい作品でした。2026/02/26
aki
31
93年にボリショイ・バレエ団が来日するにあたって記事を書くということで、記者の長瀬と子供の頃バレエ経験のある編集者の果耶が世界的振付師である久我に話しを聞いていく中で、波乱に満ちた過酷な戦争体験の中で起きた運命に翻弄された人たちの人生に触れていく。戦地に看護婦として携わった女性たちのあまりにも壮絶な半生と、そこに関わった久我の繋がりが、現代を生きる果耶の家族へと繋がっていく。芸術と戦争という相反する光と闇の対比の世界があまりにも衝撃的だったし、DANGERというタイトルの意味も腑に落ちた。2026/02/26
nyanco
25
ボリショイバレエ団の来日公演を盛り上げるために新聞社では1年かけて特集記事を掲載。 抜擢されたのは若手二人 バレエ経験者の水野果耶と長瀬 二人が月刊誌と週刊誌で記事を書くことになる。 序盤の滑り出しがとても巧い。バレエを諦めた果耶の過去と今にフラッグもたっている。 果耶が選んだのは、戦前・戦時中の踊り続けた日本人・久我一臣 ここから運命の歯車が動き出す。 久我一臣へのインタビュー 幼少時、バレエに魅せられ、母の死後、引き取られた祖父の元でバレエを習い始める。 ある日、久我の元に召集令状が届き、戦地へ。→続2026/03/12
hutaro
10
何の予備知識も入れずに手に取った。バレエダンサーの話と思いきや、がっつり第二次世界大戦に巻き込まれていく話で、読むのが辛くなるような描写もあった。他人種に対してここまで冷酷になれるのかと思うと、人間という生物が本当に嫌になる。しかし、バレエという人間にしかできない表現が人の心を打つのかと思うと、やはり人間とは素晴らしい生物だとも思う。戦争はあらゆるものを奪って行ったし、決してそこから学べるものがあるとは私は思いたくない。戦争との関係性はともかく、他国の文化が日本に入ってきたことは良かったと思う。☆3.52026/03/13
toshi
9
久我一臣の過去が、長瀬一平と水野果耶によるインタビューと果耶の書いた記事の二つから語られ、合間に細切れの副島翠のパートが入る構成で、それぞれのパートでフォントを変えて間違えないようにはなっているけれど読み難い。しかも翠の話はどう関係してくるのか分からないので、そこを読む間はイライラしてしまう。真ん中あたりで何となく繋がりが見えてくると、今度はそれが細切れになっていることにイライラしてしまう。構成は最悪だけどストーリは面白い。今も昔もロシア(当時はソ連)の指導者は碌なもんじゃないことが良く分かった。2026/03/12




