内容説明
文字を書くことが苦手な小学4年生の山村ゆきの。勉強がわかっても、考えを進めても、書かなければ、点数ももらえないし、なにも考えていないのと同じにされる、と思いこんで、いっしょけんめいがんばってきた。
ある日、橋の上でつららをひろった。右手にぴったりとペンのようにはまり、ためしに字を書いてみると、教科書のようなきれいな文字がすらすらと書ける。--わたし、魔法が使える!?
「文字、ことば、書くということ……身近な「あたりまえ」に立ちどまる力が子どもにはある。言葉の素晴らしさや不思議さや不確かさまでが、氷のように輝いて、雪どけ水のように心に沁みてくる、そんな物語だ。」--俵万智さん推薦、珠玉の児童文学シリーズ第1巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
26
児童書だが、内容は山﨑ナオコーラだ。子供に親しみを覚えてもらうためにファンタジックな装いはしている。しかし、主題は遠慮がない。いつものナオコーラなのだ。だからいい。ディスグラフィアの主人公を通して、書くということ、文字とは、言葉とは、そして自分らしさとは、を描いていく。ナオコーラは世間にまかり通る常識(らしきもの)やルール(らしきもの)を疑い、自分を縛っていたロープが透明ですぐに解けることを教えてくれる。本作のペンがつららでできているのも象徴的だ。(つづく)2025/12/08
りらこ
24
ゆきのは「書字障害」がある小学生。 先生からは「特別だから、写真を撮ってもよいよ」と板書についても言われている。 みんなと同じように書けないからこそ、書くことにこだわってしまう。 友達同士で回すお手紙。ゆきののところには、来ない。読めるけど書けないから。 だけど・・・ 氷の国で出会ったとある出来事。 果たしてゆきのは、文字を書くことへのこだわりの鎖を、解き放つことはできるのだろうか。 「普通にできることが当たり前」ではない世界が、本来の姿なんだ。そっちが当たり前なのです。2025/12/16
信兵衛
19
ちょっとしたファンタジー冒険+ちょっとした成長物語。 悩みをふっきったゆきのの姿が、嬉しい。 ゆきのだけでなく、実際に何らかの傷害を抱えている人たちがいると思います。そうした方たちも明るく日々を過ごせるような社会になってほしいと、心から願います。2025/12/29
kokekko
5
「言語化」という言葉が、まるでそれだけで意味がある語かのように跋扈している。そんなに好きな言葉ではない。伝えることができなければ、ある意味『きれいな文字で書けなければ』、何を考えていても思っていても意味はないのだろうか? そういう考え方もあるとは思うが、いやそれは違うだろと一石を投じてくれるこどもの本。ディスグラフィアの話でもあり、まさに自分のことだと思う人にも力をくれる本だと思う。でもそれだけではない、自分にもしっかり届く本だった。感謝。2025/12/12
遠い日
3
書字障害がある小4のゆきの。がんばってみんなと同じように書きたい気持ちの中で揺れる。ある時橋の上で拾ったつららペンで字を書くときれいな字が書けることに驚く。これをきっかけにゆきのの不思議な冒険が始まる。友だちの六花、兄の宇吉郎と共に、氷の国へとスイにいざなわれる。そこで見聞きした文字についての見解はゆきのに衝撃をもたらした。文字の成り立ちや、文字をどう捉えるかというゆるりとした考え方に触れるのだ。凝り固まっていた心が少し緩む。ルールは線引きではないと受け止められた。伝え合う心こそがだいじ。2025/11/16




