内容説明
容赦なく撃つ。それが伊達邦彦の流儀だ。敗戦直後のハルビンでロシア軍による暴虐を目撃した邦彦は、怒りと虚無をその身に秘め、帰国後「死と破壊の使者」と化した。端正な相貌は狂気を湛え、警察官を撃ち殺し、現金輸送車を強奪し、冷徹な知性で大胆な犯罪計画を練っていく。冷え冷えとした銃を手に、ローン・ウルフの魂はどこへ疾走していくのか。ハードボイルドの巨匠の代表作にして傑作。(解説・吉野仁)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
39
著者初読み。ミステリーではない生粋のハードボイルド小説。過去に読んだなかで最も近いのはダシール・ハメットか。まあ容赦ない。勧善懲悪だけならまだしも、罪もない人たちの人生まで平気で踏み躙り、用が済めば消す。松田優作が主演した映画版と重なる点もありつつ、伊達邦彦の人物像がだいぶ異なる(無論どちらがいい悪いではなく)。ただページを捲りながら「蘇える金狼」で優作さんが演じた朝倉哲也を思い浮かべたのも事実。本作の映画をプロデュースした側もそれをイメージしていたのだろう。というわけで「蘇える~」の復刊も待っています。2026/02/19
Moish
4
レイモンド・チャンドラーの影響で、ハードボイルドものというと、主人公の探偵がときには裏稼業のようなことをしつつも、人情のせいで非情になり切れず、困難に陥るストーリー…という先入観があったが、本作の伊達邦彦はまったく違う。むしろ、映画『ノー・カントリー』の殺し屋シガーを彷彿とさせるのだ。特に正編は、邦彦がなぜそこまで非常になれるのかがイマイチわからず、余計に背筋が凍る。一方、続編は「復讐」という明確な動機があるため、純粋に楽しめる。邦彦シリーズはこのあとも続いていたようなので、機会があれば読んでみたい。2026/04/03
Ryo0809
2
和製ハードボイルド小説の先駆となった大藪春彦のデビュー作。1958年。戦争体験がもとになって、ニヒルで虚無的となった青年の権力への反抗を描く。再読とはいえ、内容はほとんど覚えておらず、読み進めながらここまで空虚であったのかと、正直にいえば辟易とするところもあった。生きる実感を求めて、あるいは復讐のためだけの犯罪…。何とも救いのない物語であった。2026/04/05
松田悠士郎
1
今年、没後30年を迎えた日本を代表するハードボイルド作家のデビュー作。32年くらい前に古本で買って読んだが内容を殆ど覚えておらず、また書店で見かけて読みたくなったので購入した。尊敬する松田優作さんが主演した映画は、脚本家の丸山昇一さんと組んで原型を留めない程改変されているのは知っているが、伊達邦彦が抱える狂気は共通していると思う。時代背景が高度成長期なので、現代とは少し感覚が異なるが、異常なまでのパワーは文面から感じる。2026/03/19




