内容説明
日本の大都市圏の子育て世帯を対象にした就学前後4年間の追跡調査をもとに、各家庭が有する資源や資本を活用しながら展開する子育て戦略が学力とどう結びついているのかを、調査データの解析およびさまざまな家庭への丁寧な聞き取りにより検討する
目次
刊行にあたって シリーズ・学力格差 全4巻[志水宏吉]
序章[伊佐夏実]
1.子育て期の家族を取り巻く状況
2. ペアレントクラシーの時代と能力観
3. 子育ての階層差と学力
4. 本書の目的と構成
第Ⅰ部 学力格差と家庭の子育ては関連しているのか
はじめに[伊佐夏実]
第1章 調査概要と対象家庭のプロフィール[伊佐夏実]
1. 調査地の概要
2. 調査方法
3. 対象者の特徴
4. 訪問家庭児童の学力調査
第2章 インタビュー調査からみる就学前の子育て[金南咲季・伊佐夏実]
1. はじめに
2. 習い事
3. 就学前教育機関の選択
4. 小学校に向けた準備
5. 読み聞かせ・読書活動
6. おわりに
第3章 統計データからみる子育てと学力――X市における学力・アンケート調査から[中村瑛仁]
1. はじめに
2. データの概要とX市の特徴
3. 社会階層と子どもの学力・生活
4. 保護者の子育てと教育意識
5. 厳しい家庭環境でも学力を下支えしている家庭
6. まとめ
おわりに[伊佐夏実]
第Ⅱ部 子育て家庭のエスノグラフィー――資本活用の視点から
はじめに[伊佐夏実・敷田佳子]
第4章 全ての資本を巧みに活用する家庭――支援するのは子どもの意思決定[志田未来]
1. 初めて受ける学外のテスト――エミリちゃんの危機
2. 高梨家との出会い
3. 高梨家の日常
4. 宿題――生活に必要なものとして、コミュニケーションツールとして、そして努力の証として
5. 「学校ってな、図書館あんなんて」
6. サンタさん、1000万円のプレゼントをお願いします
7. 夏休みの書道
8. ママ友・先輩ママとのつながり
9. まとめ
第5章 経済資本を活用する家庭――さまざまな体験を将来の財産に![野﨑友花]
1. 花田家のリョウくん
2. より良い学びを受けさせたい――幼稚園と習い事の選択
3. 花田家の休日
4. 家での創作的な活動
5. リョウくんの日常
6. 学習に対するリョウくんの変化
7. まとめ
第6章 文化資本を活用する家庭――母の明確な教育方針のもと編成される日常[敷田佳子]
1. はじめに
2. 両親の子育て方針
3. 生活にうめこまれた学び
4. 楽しい勉強とそうでない勉強
5. 日常に根づいている読書活動
6. 非日常的文脈における働きかけ
7. 生活の変化
8. まとめ――文化資本を最大限に生かして確固とした教育方針を貫く
第7章 社会関係資本を活用する家庭――多様なつながりのなかで流れるあたたかい時間[金南咲季]
1. はじめに
2. 日常生活の風景
3. 学校と家庭のあいだ
4. 習い事の選択
5. 多様なネットワークのなかで
6. 子どものいま・これから
7. まとめ――つながりのなかで育てる/育つ家族
おわりに[敷田佳子]
第Ⅲ部 子どもたちの学力は、どのように支えられているのか
はじめに[伊佐夏実]
第8章 生活・学習と習慣――日常生活はどのように組織されているのか[伊佐夏実]
1. はじめに
2. 生活習慣と家庭のルール
3. 学習習慣と数字や文字への親しみ方
4. 読み聞かせと読書の習慣
5. 放課後の過ごし方――習い事
6. 放課後の過ごし方――あそぶ
7. 子どもたちの日常生活
第9章 教育期待――親は子どもにどのような期待をしているのか[金南咲季]
1. はじめに
2. データの概要
3. 全資本活用型――一歩上を見据えて
4. 文化資本活用型――好きなものと出会い、豊かな個性を
5. 経済資本活用型――自立して着実に生きていけるように
6. 社会関係資本活用型――背伸びをしすぎず、のびやかに
7. おわりに
第10章 学校との関係――親は学校とどのような関係を築いているのか[敷田佳子]
1. はじめに
2. 学校・教員の関心と期待
3. 学校と一定の距離を保つ家庭
4. トラブルへの対処
5. おわりに
第11章 子育てネットワークと情報――親はネットワークをいかに駆使して子育てに活用しているのか[堀家由妃代]
1. ネットワークと子育て
2. 親は子育て情報をどこから得ているのか
3. 親は子育て資源をどのように活用しているのか
4. 暮らし方の多様性と子育て
5. おわりに
第12章 育児の場における子ども――子どもの主体的側面に着目して[志田未来]
1. はじめに
2. 斉藤家――母・メグミ 父・タカノリ 対象児・マナ 妹・ルイ
3. 林家――母・ショウコ 父・リョウ 対象児・ナオ 妹・アイコ
4. まとめ
おわり[伊佐夏実]
第Ⅲ部 階層と子育て、学力研究に向けて
第13章 「知識基盤社会」における子育て・教育のゆくえ――バーンスティンの議論を手がかりに[山田哲也]
1. 「知識基盤社会」の到来が与えたインパクト
2. バジル・バーンスティンの知識基盤社会論
3. ヤヌス的ペタゴジーの登場と展開
4. ペタゴジーの変容は家族の教育戦略に何をもたらすのか
第14章 子育てに格差はあるのか――アメリカの子育て・教育研究の視点から[山本洋子]
1. 「タイガー・マザー」をめぐる子育て論争
2. 「よい」子育てはあるのか?
3. 学力に「効果的な」子育てとは? 親の教育への関わり
4. 親の関与か親の期待か?
5. 家庭の文化差と学校経験
6. おわりに
終章 私たちが見出したもの[志水宏吉]
1. 本書がねらったもの
2. 本書が明らかにしたこと
3. 若干の考察
4. 今後の研究の展開に
あとがき[伊佐夏実]
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