性暴力の加害者となった君よ、すぐに許されると思うなかれ

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性暴力の加害者となった君よ、すぐに許されると思うなかれ

  • ISBN:9784893089731

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内容説明

加害者は、被害者のことを知らない――。

国内最大級の依存症専門クリニックで、性加害者への再犯防止プログラムに取り組む斉藤章佳。彼らが自らの加害行為の責任に向き合うためには、性被害者の「その後」を知る必要がある。そんなとき、当事者のにのみやさをりと出会う。

にのみやは、斉藤に単刀直入に言った。
「私は加害者と対話したいのです」 そこから始まった、 前代未聞の修復的対話。

――Mさんは、被害を、忘れられるものなんじゃないか、とおもっていらっしゃるんでしょうか。だとしたら、ちょっと違うよなと思います。忘れられないからつらいんです、忘れられないから恐怖なんです。忘れられないから、苦しむんです。たぶん、被害者に一度なってしまうと、生涯この葛藤の中にいることになるんだと思います。
2019年8月 にのみや――

目次

第1章 被害者の“その後”を知る対話プログラム
「忘れられないから」苦しむ/自分の加害行為を過小評価する加害者/加害者は被害者のことを知らない/加害者臨床の現場も、社会も、被害者を知らない/被害者の“その後”を語る対話プログラム/被害者と加害者の過ごす時間の違い/被害者の“その後”はいつまでも続く/加害者が取り組む三つの責任/被害者を襲う「記念日反応」/被害者と加害者に共通する現象/被害者も、加害者を知る/したことと向き合えない加害者/いつまで逃げればいいのか/対話しなければ辿り着けない場所がある/回復が一人では不可能な理由/加害者にも「解離」があるのか?/被害者を出した事実から目を逸らしたい

第2章 性加害を自分の言葉で語ることの難しさ
あなたの「弱い話」が仲間の強さになる/語らずに身を潜める加害者/自分をごまかせない「書く」という行為/加害者もまた加害者を知らない/性加害に重い、軽いがあるのか/たかが盗撮、なのか/被害に優劣をつける意味はない/被害者も、被害を相対化する

第3章 「認知の歪み」を理解するために
レイプ神話は誰がつくるのか/なぜ自分だったのか、の答えを探すのはいつも被害者/自分こそ被害者だと思う加害者/加害者のあいだで似通う認知の歪み/人をモノ化するという自動思考/ヒト扱いされてこなかった経験がモノ扱いを生む/「男らしさ」を押し付けられる/自らのトラウマに気づけない加害者/弱みを見せられずに孤立する/SOSを出せないことが問題行動につながる/低い自尊感情、高いプライド/承認欲求はなぜ性加害につながるのか/ストレスを解消する選択肢を間違う/被害はなかったことにできない/自分にも他人にも価値があるという健全な思考/女性をうらやましいと思う心理/女性に嫉妬しつつ下に見る「弱者男性」/女性にモテて当たり前、と思わせる社会

第4章 性暴力の加害者となった君よ、 すぐに許されようと思うなかれ
謝罪というパフォーマンス/許されることを前提としている傲慢さ/許すことと、赦すこと/加害者には回復を目指す責任がある/手紙という対話でしかできないこと/回復のパターンは一つではない/被害者でい続けることの辛さ/加害者でい続けることの安全さ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

90
性加害者と性暴力被害者の対話。そこには決して交わらない線が引かれる。被害者にとって切実な問い「なぜ私だったのか」への加害者の答え「誰でもよかった」は余りに哀しい事実。加害者にとって数多くの性犯罪のうちの一つだとしても、被害者にとってその後の人生に数十年にわたって残るトラウマとなる。強姦も痴漢も盗撮も、罪の重さは同じもの。社会や報道でのテンプレート「性暴力は性欲が原因であり、性欲を抑えきれず犯罪に至った」とは異なり、加害者は低い自尊感情と高いプライドを持ち、認知の歪みと援助希求能力が低い弱者男性であるのだ。2025/10/03

たまきら

44
斉藤さんらしい直球のタイトル。写真家にのみやさんとともに、7年以上も性暴力被害者と加害者の対話を継続されていることを知り、ただただ関係者の方々の努力に頭が下がるばかりです。お互いを知ることの大切さは理解できますが、被害者が立ち上がり、加害者に向き合い続けることに心を揺さぶられました。伊藤詩織さんもそうですが、様々な二次被害や嫌がらせもあるはず。けれどももう加害者に力を持たせたくないから、声をあげ続けてくれている人がいるー私も、被害者たちを支えたいです。こんなこと、簡単に許されてはいけないから。2025/03/12

踊る猫

40
ぼく自身も男であり、かつ加害者になりうる条件として依存性を持ちうる人間なので文字どおり他人事としては読めない。にのみや氏は加害男性とねばり強い対話を行うが、そこでは単純な高みからの「赦し」も低みからの「宣告」もないと読む。被害者としてフラッシュバックに苦しむ弱みを抱えつつ、同時に加害者の歪んだ心理への想像力を(おそらく、恐るべき恐怖と戦いつつ)駆使して問いかけ続ける。そこに斉藤氏の明快な解説が加わり、いま「男(とりわけ弱者男性)」を生きづらくさせているものの正体をさえも浮き彫りにさせており、実に示唆に富む2024/11/13

駒場

7
性加害にあって以降PTSDや解離に苦しむ女性が、「どうして私が被害にあわなくてはいけなかったのか」と悩み、加害者診療に通う性犯罪加害者の男性たちと書簡を交わす。「修復的司法」にヒントを得た治療プログラムで見えてきたことを考察する本。にのみや氏が性被害の経験を話すと防衛機制で参加者が全員ほぼ無表情(のっぺらぼう)になるとか、にのみや氏を傷つけるであろう言葉を手紙に書く参加者がいるとか、加害後に「こんなことは俺しかできない」「被害者に受け入れてられた」と承認欲求を満たすとか結構しんどいことも書かれている2025/04/29

どら猫さとっち

7
芸能人による性暴力報道が続くなか、本書は読まれるべきではないかと思う。被害者と加害者が往復書簡を続け、精神科医がそれを読み解くという内容である。タイトルからすれば、傷つけられた者たちの、凄まじい怒りが込み上げている。そして怒りは、人間の尊厳や人権を見出していく。そのプロセスは苦しく悲しく、理不尽だ。私たちは、本書の内容を重く受け止め、噛み締めなければならない。2025/02/14

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