内容説明
盗みに手を染めた元大工の石蔵が、居酒屋で働く娘に惚れて足を洗いたいと思うようになり……(「ひと時雨」)。料亭で女中をしている独り身のおたつは、亭主が酒豪だと嘘をついて、昼間から酒を買う……(「心恋」)。店賃を調子よくごまかす善吉が、遺書をしたため行方不明になった。(「風穴」)。15歳のおえんは、怠け者の母親を内職で支え暮らしていたが、ある日、お店者風の男に「お嬢さん」と声をかけられた。(「長屋すずめ」)。ほか、江戸は本所の貧乏長屋を舞台にした、心揺さぶられる全七篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
137
ふぅぅ。どうなるのだろうと読んで来て、参りましたの終章に喉の詰まりがストンと落ちた感じだった。連作7話。まさかのキーマンが、医者に番太郎の母と息子だったとは天晴れ高瀬さん。タイトルまでがなるほどねとしっくりくるのだ。2026/01/07
星群
86
哀愁濃度が濃いめのお江戸人情短編集。タイトルみて〝うらぎり〟って不穏やなって思いましたが、その意味は読んでからのお楽しみですね。初めは読み進める度に鬱々としましたが、3話目の〝風穴〟から光が指してきた様に感じました。おふゆちゃんが健気。にしても、彼の正体にはびっくり。想像もつきませんでした!2026/02/09
タイ子
84
この長屋、一体どんな長屋なんだ?今にも朽ち果てそうな長屋に住む住人、そこには怠け者の母親のために働く娘、人の財布からお金を盗むことを覚えた大工、独り身の女がお酒を買う時亭主がのんべえでと嘘をつく悲しい女など事情を抱えた者たちばかり。連作短編集なので、長屋を背景にそこに植わる柿の木や雀の姿が物語の途中、途中に描かれていてそれがすごく印象的。もがき尽くした人生でもまだ残りがあると再び立ち上がろうとする人たちが愛おしい。終盤で描かれる伏線回収にこれはミステリだったのかと思ってしまうくらい見事な終章。2025/12/28
シャコタンブルー
63
裏霧長屋(うらきり)だが、うらぎり長屋と人は呼ぶ。今にも朽ち果てそうなぼろ長屋の住人は皆訳ありだ。どこからか流れてきて、どこかに去る。吹き溜まりの塵のように見向きもされないが、誰もが悩みや苦しみを抱え込んでいる。そんな人たちの業を7話の連作短編で描いている。落ちぶれて犯罪に走る者、騙される女、騙す男、過去を美化し現実を顧みない者。愚か者ばかりであるが心根は優しさを持っているのが特徴だ。それだけにやるせないものがあった。軽い気持ちで行動したことが・・後悔先に立たずだ。2026/02/02
チーママ
61
長屋小説というと人情味あふれる温かな作品が多いイメージだが本作はどちらかというと哀愁を帯びた切ない作品が多かった気がする。うらぎり長屋は日の当たらぬ場末のオンボロ長屋。流れ着いた主人公たちは貧しい生活の中にも微かな希望を見い出し夢を見るのだが…人生はままならない。けれどこの短編集の良い所はそこで終わりにしないところ。新しい何かが始まりそうな気配を漂わせながら終わるのだ。それにしても驚いたのは最終話から終章にかけて。短編集全体を揺るがすような事実が判明する。確認したくて思わず前から読み返したくなった。2025/12/31
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