内容説明
両親の性行為を目撃することが神経症の原因になるとフロイトは分析した.親子が共に寝るのが一般的な日本では,子どもがそこに巻き込まれやすい.では,こうした「川の字」寝の文化は,子どもの心や夫婦・親子関係にどんな影響を与えるのか.臨床現場の知見,春画などの文化表象から広く読み解く.田中優子氏も特別寄稿.※紙書籍版を一部割愛した電子オリジナル編集版です。
目次
まえがき
序としての随想──「川の字」文化を考える……北山 修
第Ⅰ部 「川の字」文化と心の問題──臨床現場からみる
第1章 人間であり、動物であり──劇的観点からみる……北山 修
第2章 「川の字」あるいは添い寝文化を通してみた、両親のつながり……妙木浩之
第3章 「川の字」文化を生きる──インド・コルカタの経験から……ジュマ・バサク(石川与志也 訳)
第Ⅱ部 「川の字」文化から臨床を問い直す──女性と精神分析
第4章 母と身体──「はぐくみ」という柔らかい禁止……岡村斉恵
第5章 三角関係の中の女性のこころ……鈴木菜実子
第6章 居場所がない──母親であることの孤立と精神分析のワスレモノ……笠井さつき
第7章 「先生転移」に覆われた「甘え」──「見るなの禁止」に隠された愛情への強い渇望……加藤隆弘
第Ⅲ部 「川の字」文化と私たちとの間に──歴史から考える
第8章 「川の字」文化にみる日本の性と育児──江戸、そして現代
1 江戸文化にみる「川の字」文化──「見るなの禁止」ではなかった性……田中優子
2 対談 罪悪感を抱えながらともに生きる……北山 修/田中優子
あとがき



