内容説明
聞いて欲しい人が一人おるんです。政と聖を描く芥川賞候補作。早野ひかるは「先生」に打ちのめされ、銅鐸と土地の来歴を学び始める。ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。いつしか昭和と令和はつながり、封印されていた声が溢れ出す。大阪と大陸で響き合う夢とロマン、恋愛政治小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
82
現代の関西万博と古代の銅鐸の掛け合わせが面白い。読みやすくもあるんだけど…私には難しかったです。 2026/01/20
もぐたん
57
ヒラの地方公務員、早野は、「先生」と出会い銅鐸に魅せられる。その鐘の響きが延々と続くような世界観だった。人は、誰かの生きてきた歴史に心を寄せることで、自分の存在の心許なさや虚無感を薄められるのかもしれない。生きることの生々しさ、追い求めることの危うさ、そして目も眩むような光を随所に感じた。★★★★☆2026/01/31
ぼっちゃん
48
【第174回芥川賞受賞作】恋人に振られ自暴自棄になった主人公は先生とあい銅鑼と来歴を学ぶが、その土地から満州に渡った青年と万博で繋がる物語で、ファンタジー的な部分もあったが、どうしても聞いて欲しいことがあるという叫びが伝わる話で、私としては『時の家』より分かりやすかった。【図書館本】2026/02/08
ころこ
43
銅鐸の制作教室で早野としおりが出会う。早野は戦前に生きた川又青年と自分を重ね、彼が行けなかった戦前の東京万博と今回の大阪万博を重ねる。だが、そもそも早野は茨木で生まれていない。郷土でないのは、同棲すると騙されて借りた部屋がたまたま茨木だったからだ。『叫び』も大絶叫の意志が明確な叫びではない。早野の川又青年に対して、日本から大陸に対する時間を超えた気持ち、しおりに対する想いと重なる。しかし、川又青年もアヘンの栽培に身を落とした存在だし、しおりに対する想いが純粋なのかも良く分からない。早野はしおりに想いを寄せ2026/01/18
kei302
41
文章が巧い。今と過去の捻じれ部分もストレスなく読める。職場での雑談:大屋根リンク・一万人の第九・万博と続き、早野ひかる(37歳/男)の銅鐸づくりへ移行。周囲の反応に気づけない早野。地域の歴史を学ぶと戦前に思いが飛び、川又青年と同期同調して意識は満州へ。自宅で罌粟(ケシ)栽培・あかんやろ、鞄の底に短刀忍ばせて万博会場へ・入れやんやろ 辺りから警戒アラーム点滅。予想通りでした。奥泉光作品が好きな人なら合うと思う。面白かった。「叫び」は いくつか出てきたけどテーマがつかめなかったので時間をおいて再読したい。2026/01/16




