ナチスに抗った障害者――盲人オットー・ヴァイトのユダヤ人救援

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ナチスに抗った障害者――盲人オットー・ヴァイトのユダヤ人救援

  • 著者名:岡典子【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 明石書店(2025/12発売)
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  • ISBN:9784750350370

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内容説明

ナチス時代のドイツでユダヤ人――そのなかには多数の障害者もいた――を守るために尽力した盲人オットー・ヴァイトと、彼をめぐる仲間たち。極限状況の下で互いに手を携え、苦境にある者たちにその手を差し伸べ続けた「沈黙の勇者」たちの実像に迫る。

目次

はじめに
第一章 ユダヤ人迫害の始まり
1.ナチス人種政策とユダヤ人の迫害
迫害の始まり/ドイツ社会に同化したユダヤ人/ユダヤ人たちの戸惑い/現代ドイツに刻まれたナチスの過去と「記憶文化」/ユダヤ人とは誰のことか/ニュルンベルク人種法/異人種婚(ミシュエーエ)問題/迫害の激化
2.救援者オットー・ヴァイト
出生から青年期まで/「革命」への傾倒/最初の結婚と破綻/第一次世界大戦への従軍/知識層への憧れ/失明/三番目の妻エルゼ
第二章 オットー・ヴァイト盲人作業所
1.盲人作業所の開設とユダヤ人の雇用
再出発/共同経営者クレマート/最初の従業員たち/逃げ惑うユダヤ人と閉ざされた国境/ドイツに残されたユダヤ人と「水晶の夜」事件/ユダヤ盲人たちの生活とユダヤ盲人施設/躓きの石/第二次世界大戦の勃発と「戦争遂行に必要な企業」の認可
2.ナチス政策と「分類」された障害者
「分類」された障害者/「国家の英雄」としての傷痍軍人/政策の両輪――人種政策と経済再建/ナチス市民としてのドイツ人障害者/障害児のヒトラー・ユーゲント/反ナチの障害者/ユダヤ人障害者の救援の努力
第三章 ユダヤ人は強制労働に従事せよ
1.救援の舞台ハッケシャー・マルクト
ユダヤ人の迫害――剥奪から隔離へ/事業の拡大/ブラシ職人養成コースの開設/ユダヤ人街ハッケシャー・マルクト/警察による迫害/第十六管区警察署とユダヤ人の救援
2.ひとりでも多くのユダヤ人を
牧師ディートリッヒ/社会からの排斥と家族との別離/新たなユダヤ人迫害――強制労働/強制労働からの保護/インゲとアリス/ありがとう、ほかでは引き取り手のない者たちを雇ってくださって/盲人作業所での「強制労働」
3.盲人作業所の日常とヴァイトの仲間たち
盲人作業所の日常/ヴァイトの協力者たち/協力者たちの「役割分担」/娼婦ポルシュッツ/ナチス社会と娼婦/印刷工場主ゲルナー/パパ・ヴァイト/結び合う魂/ユダヤ人もドイツ人もない、俺たちは同じ人間だ
第四章 強制移送に抗して
1.迫害から追放へ
最初の東方移送/移送者リストの作成/集合収容所/グルーネヴァルト駅十七番線/従業員を移送者リストから削除せよ/命の選別/削除された名前、加えられた名前/繰り返された救出/ユダヤ人問題の最終解決/ひとり、またひとり
2.匿う者、匿われる者
潜伏生活/アリス一家/作業所も隠れ家に/従業員たちの財産/ポルシュッツの覚悟/被迫害者の救援活動/無名市民たちの絆/ウィーンから来た警告者
3.連れ去られてもなお
工場作戦/密告/「捕まえ屋」イザークゾーン/壊滅した隠れ家/ヘルト夫人の働き/ゲットーに救援物資を/テレジエンシュタット・ゲットー/アウシュヴィッツへ/収容所からの救出/終戦/別離
むすび
あとがき
主要文献一覧・写真出典一覧
オットー・ヴァイト ユダヤ人救援活動関連年表
ベルリン・ユダヤ人東方移送年表
関連人名リスト
索引(事項索引・人名索引)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

43
ヴァイト氏のことを紹介した絵本を読んで、なぜドイツ人のこの人がユダヤ人を救う活動をしたのか気になった。ちょうど本書が図書館に新着本として入ってきてラッキーだった。著者は障害教育原論を専門とする日本人の学者。ナチスのユダヤ人迫害は決して独裁政権の暴挙ではなく、国民の支持に基づく暗黙の承認によって実行された。それに対して、ドイツ人の中には暗黒の時代に自らの良心に従って行動した「沈黙の勇者たち」がいた。ヴァイト氏はその中の一人。そして、彼を支え協力し合った仲間の存在が大きかった。人間力が違う!2020/09/15

絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく 

25
ナチス政権下のドイツで、多数の障害者を含むユダヤ人を守るために尽力した盲人オットー・ヴァイト。その名を知るのは初めてです。彼と仲間たちによる救出の記録。過去にももちろん障害を持つ人はいたでしょう。女性・子ども・高齢者に目を向けた本は多々ありますが、障害者へ目を向けた本は、私的には初めてです。自らも盲目という障害を抱えながらも活動した彼と、その仲間『沈黙の勇者』たちの実像が書かれてます。『第一章 ユダヤ人迫害の始まり / 第二章 オットー・ヴァイト盲人作業所 / 第三章 ユダヤ人は強制労働に従事せよ 』2020/09/24

くさてる

15
色々とナチス関係の歴史本は読んできたつもりだけど、このひとのことは初めて知った。自らも視覚に障害を持ちながら、同じ障害者とユダヤ人をナチスの迫害から守ろうと努力し続けたオットー・ヴァイト。この本は、あくまで事実に基づき、その活動を綴ったノンフィクション。とにかく絶望的な状況だったナチ支配下のドイツで、こんなことを続けられたオットーとかれにも協力者がいたことに、ただ圧倒させられた。戦況が悪化するにつれてどんどん緊迫していく時期のあたりは読んでいて苦しいほど。それでも彼はあきらめなかった。読み応えありました。2020/10/03

aoi

3
自らも障害を抱えながらナチス政権下のドイツでユダヤ人障害者を救援した男性とその仲間たちの記録。 ナチスの手を逃れる為に記録が殆ど残っていないのでここに書かれていない様々な人の手も借りていたんだろう、時代背景を知れば知る程あの時代のドイツで「弱者救済」がどれだけ大変だったのかを考え心が痛んだ。 安全で平和な日常が崩れた時、人は何を考えどう行動するのだろうか。人はいつ「弱者」になるか分からない。時代の変化により弱者と強者が入れ替わる事もあるだろう。コロナでどんどん弱者救済に手が回らなくなっていく世界が怖い。 2020/08/18

近藤こたつ

2
「むすび」の言葉がよかった。『加害者が正義ではないのと同じく、被害者、弱者もまた「正義」ではない。』その通りだ。「正義の異邦人」とか「沈黙の勇者たち」とか言われる人々が第三帝国では裏切り者で、今は正義の人なのと同じように、正義なんてものは時代や立場やその人によって変わっていくんだろう。 オットー・ヴァイトのことは初めて知った。自身も障害をもつからこそ救った人。本作の中でも、わかっていないことはけっこう多いようだった。知られていないだけでこういう積極的に助けた人や、間接的に助けた人もたくさんいたんだろうな。2021/09/19

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