内容説明
六十年に一度巡ってくる丙午。この年に生まれた女性は「男を食い殺す」と忌み嫌われ、大きな苦しみを味わってきた。自らも丙午生まれの著者が、六十年ずつ時代を遡り、史料・新聞・雑誌・小説・芝居等に残る驚きの丙午エピソードを発掘。この迷信が生き永らえてきた社会的背景を解き明かすと共に、次代の糧ともなる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たかこ
84
丙午生まれの作者がここ300年の丙午の社会の動向を考察した素晴らしい本。今年読まずしていつ読むの!昭和41年(1966)、明治39年(1906)、江戸時代(1846,1786,1725)、60年に一度の丙午。「丙午の女性は夫を不幸にする」との迷信があり、明治の女性は結婚ができず自殺する者もおり、昭和はその年だけ出生率が低下。丙午の女性は「女に強くなって欲しくない」という風潮の人柱になったし、子どもを産まない現象は、日本における「世間」が持つ影響力の尋常でない強さが現れている。令和の丙午(2026)の迷信…2026/07/22
いたろう
72
丙午生まれの女性に関する迷信のとらえられ方が、時代を経て、どう変わってきたかの考察。酒井さん自身が丙午ということで、自虐も含めて、面白おかしく書かれたエッセイかと思ったら、極めて真面目な本だった。個人的には、昭和の丙午の翌年の生まれなので、丙午で出生数が減少した反動で、生徒数が急に多くなり、受験が大変になったという思いがあり、丙午をうらやましく思っていたのを思い出す。昭和の丙午は出生数が激減したが、その後、丙午についての偏見はなかったのは周知のところ。今や、2026年は丙午、だから何?というところだろう。2026/04/19
R
68
丙午という民間伝承にまつわるあれこれを調べた本。著者自身が60年前の丙午生まれとのことで、その当時産み控えが発生していた事実や、300年前の八百屋お七に端を発する丙午にまつわるあれこれが紐解かれていて大変面白かった。ある種の民話のようなものと本書では解読していたが、指摘としては生まれた赤ん坊そのものよりも、その周辺の大人たちの意識がどうであったかが重要というのは興味深かった。そうらしい、そういわれている、といった言説による世論形成みたいなのは日本ぽいなぁと思いつつ読んだ。2026/06/25
けぴ
58
丙午生まれの酒井順子さん、今回は丙午の300年の歴史を紐解きます。火事を起こす、夫を食い殺すなどの迷信から出生率が低かったことが多々あったよう。前回の1966年も通常より25%ほど低かったが、迷信を信じない両親のもとで育った子供ということから、しっかりした子が多いという論理には納得。巻末の対談に登場した丙午生まれの鈴木保奈美さん、演じた東京ラブストーリーの赤名リカが、まさにそんな感じのしっかりした子でしたね⁈ 2026/04/14
あやの
53
今年って丙午なんだ!と最近知ったくらい、十干十二支は意識されなくなっている。60年毎の丙午が社会でどう捉えられていったかを遡って見ていく構成がお見事だと思った。男尊女卑が通奏低音のように流れ続ける日本社会では、丙午が来る度に「女は目立ってはならない」という意識が改めて認識されるということだ。今、大して騒がれなくなったのは昭和の丙午から社会が大きく変わったということ。気の強い女性、良いじゃないか!昭和の丙午生まれの方々も、特段嫌な思いをすることなく還暦を迎える。令和の丙午が最後の対談のようになると良いな。2026/03/07




