内容説明
明暦の大火で灰燼に帰した江戸――
焼け出された人々に、癒しの湯をとどけたい!
すべてを失った湯屋の娘ぎん。自らの再生と町の復興のため、舟で江戸じゅうをめぐる!
人情の“ぬくもり”が胸に沁みる時代小説。
舟に、生きる希望をのせて漕ぐ――
所は神田駿河台・上柳原の寿々喜湯。江戸では珍しい湯女を置かぬ湯屋だが、良質な湧水と絶妙な湯加減で、多くの町人に親しまれていた。
跡継ぎの娘ぎんは、父・儀兵衛と折り合いが悪く、孤独を抱えながらも懸命に働いていた。しかし明暦三年(一六五七)一月十八日、本郷丸山から広がった猛火はあっという間に駿河台を呑み込み、江戸の大半を焼き尽くした。
家族と湯屋、無二の友を失くして絶望の淵に立つぎんは、偶然出会った羽州浪人・茅島の力添えで、寿々喜湯の再建を決意。さらには江戸じゅうの人々を湯で癒すために前代未聞の策に出る……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
19
痛快人情時代小説という括りになってしまうのが惜しく感じられるほどの読み応えを感じた。一連の尼子伝から読み始めた武内氏の筆は、先般の歌川ものも含めて確実にパワーアップしている。個人的には大河物を期待したいところではあるが、この作品を読むとこのジャンルも期待してしまいます。ともあれ、注目の作家さん。次作も大いに期待!2026/01/05
土筆
5
江戸は神田、駿河台にある湯屋、寿寿喜湯。周りの風呂屋はサウナに湯女を置いてやっているのに対し、寿寿喜湯は井戸を掘り、自前の水で湯の張った風呂屋を営む。しかし江戸を焼き尽くし数万人の命を奪った明暦の大火が起こり寿寿喜湯も親も沢山のものを失った娘ぎんと妹うた。そんな中でもぎんはこんな時だからこそ、人々に熱い湯に浸かってほしいと思う。そしてそれが船であれば、川を使って色々な場所で困っている人に風呂を使ってもらえるのでは。困難の中でも希望の光を見つけ自分の生きる支えにもする。自衛隊の被災地を周る風呂を想った。2025/12/31




