内容説明
「平和」な日常を送る高校生の六花。でも、この家には掘り出してはいけない蔓がある――。傷ついた心をやさしく包みこむ、瑞々しい「冬」の青春小説! 氷室冴子青春文学賞第5回準大賞。
町田そのこさん激賞! 瑞々しい「冬」の青春小説
森川六花、17歳の高校2年生。ふざけがちな母、穏やかな父、「お姫様」のお姉ちゃん、朝でも夜でもいつでも来るやさしいケイティ。
片思いしている同級生・森沢とはバカ話でいつまででも話せて、なんだかいい感じ。平和な日常に見えるけど、この家には掘り出してはいけない蔓がある――。
ユーモアあふれる家族の生活に潜む暗い影に向き合おうともがく少女の姿を、現在と過去を交錯させながら真摯に描いた、高校生たちの瑞々しい青春も眩しい「冬」の青春小説。
氷室冴子青春文学賞第5回準大賞。
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「どうして彼らはユーモアを必死に纏おうとしているのか。ちらちらと影を感じさせながら不穏に進んでいく様子は、読み応えがあった。そんな中で主人公と森沢の微妙な距離感はキュンとした」--町田そのこさん(審査員講評より)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
80
『氷室冴子青春文学賞』受賞、初読み作家の作品。当初、女子高生を主人公にした穏やかな淡い胸キュンな青春群像劇と思いきや、ずっと我慢して隠し持っている、心の襞を抉り出すような、鋭い痛みが走り抜ける切ない青春小説だった。それは、レイプ、児童虐待、DV、痴漢等の不条理な体験が生み出すトラウマが、『蔓』の様に精神的な苦痛となり、心に蔓延っていくもの。そんな苦悩を抱える人々を、一生懸命に支えて見守ろうとする一途な優しさが、『生きる力』となって、新たな扉を開く後押しになるとも感じた。若者の瑞々しい感性と姿が残る一冊。2025/12/05
ネギっ子gen
70
【その迷いを知っている。土をかけて隠したい恐怖と、全てを明らかにして助けを求めて縋るような気持ち】「家族には“蔓”があり、掘り起こしてはならぬ」と思う、高2の六花。ダジャレ好きな母、穏やかな父、「お姫様」の姉、優しいケイティ、同級生などキャラが良く、本書は掘り出し物 。<悔しさも怒りも衝動も、雪はすべて包容してくれる。どんなにボコボコにされても、春が来れば、何もかもをきれいに溶け流してくれる。病める心を癒す、雪のようなやさしさが、心にも降り積もるといい。たくさんの心が、やさしい雪に救われますように>と。⇒2025/12/25
天の川
54
高校2年生の森川六花を見ているととても気持ちが良い。同級生の森沢との軽口の応酬は恋愛感情のジャブ♪知り合いの女装家?ケイティも含め、家族もとても仲がいい。なのにどこか不穏。心優しいお姉ちゃんが家族のお姫様なのはなぜ?六花が森沢との恋に踏み出せないのはなぜ?ケイティが家に始終来るのはなぜ?親から虐待を受けている小2のみるくちゃんを助けようとしてその結界が破れる…。そして、お姉ちゃんも動き出す。「あの時…」の後悔は取り返せないけれど、次に進むことはできる。優しい優しい話だった。女子高生らしい会話もとても良い。2025/12/17
はる
49
良かったです。心に傷を持つ人たちの優しい物語。高校生の六花は、偶然出会った少女が母親から虐待を受けていることを知る。だがそんな六花の家庭にも悲しい過去があった…。重いテーマを描いていますが、登場人物は優しい人ばかり、主人公の淡い恋愛描写も微笑ましく引き込まれました。氷室冴子青春文学賞の準大賞作品。2025/12/14
かな
33
人それぞれ、悩みや人に言えないことを抱えていることがあると思う。森川六花の家族は一見仲の良い家族に見えるが、触れてはいけないなにかがある。森川家に昼夜を問わず通い詰めている女装家のケイティ。六花が出会った虐待されている少女。六花の惹かれている同級生の森沢。森沢との何気ないやりとりにも微妙な影が差す。みんなが何かを隠しながら明るく振り舞おうとする。頻繁に出てくる「蔓」を掘り下げてはいけない何かとは。六花と姉の風花、そしてケイティ、羊蹄山を前に止まっていた時が動きだす。心痛く、そして切ない青春物語でした。2025/12/03




