講談社選書メチエ<br> ミシェル・フーコーと狂気のゆくえ 我狂う、ゆえに我あり

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講談社選書メチエ
ミシェル・フーコーと狂気のゆくえ 我狂う、ゆえに我あり

  • 著者名:中谷陽二【著】
  • 価格 ¥2,145(本体¥1,950)
  • 講談社(2025/12発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065415818

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内容説明

20世紀後半を代表する思想家ミシェル・フーコー(1926-84年)が残した膨大な仕事の中で、最初の大きな山が「狂気」と「精神医学」を焦点とするものだった。1961年に34歳のフーコーが世に問うた『非理性と狂気』は、のちに『狂気の歴史』と改題されて今日まで読み継がれ、『言葉と物』や『知の考古学』と並ぶ代表作の一つとなっている。ところが、「狂気」というテーマは、その後の著作活動の中で背景に退いていき、フーコー自身、かつての狂気研究の価値を小さく見積もる発言さえ残している。
このことは何を意味しているのか? 「狂気」の問題はフーコーの関心の外に追いやられたのか、それとも、どこかに姿を隠しただけなのか。本書は、迷子のようになった「狂気」という問題の行方を探ることを目的としている。
 そもそも「狂気(folie)」という言葉は、病気としての精神疾患を一義的に指すわけではなく、多様な意味をもつ。にもかかわらず、多くの研究者はフーコーの言う「狂気」を精神疾患と同一視し、その著書を批判的立場からの精神医学史とみなしてきた。本書は、その前提を疑うところから出発し、以下のように展開する。
 『狂気の歴史』執筆の背景とアウトラインおよび方法、出版後の社会的反響、特に反精神医学運動による聖典化。フーコーを反精神医学の代表的論客とみなす定説の批判的検証。この定説の一つの根拠となった「精神病者を鎖から解放した大博愛家フィリップ・ピネル」という神話のフーコーによる破壊の内実。中期フーコーが権力を中心課題に据える中での狂気の位置づけの変化。夢と狂気に関するデカルトのテクストのフーコーによる解釈とそれにまつわるジャック・デリダとの論争。芸能、文学、造形作品に表現された文化的表象としての狂気とそのフーコーによる理解。レーモン・ルーセルという特異な作家の作品との出会いがフーコーにもたらした衝撃。
本書は、長年にわたる臨床経験に立脚しながらフーコーにおける「狂気」の問題を徹底的に追求する稀有な試みであり、その根底には「人が狂うことにはどのような意味があるか」という根本的な問いがある。

[本書の内容]
第1章 初期フーコーと狂気の問題
第2章 反精神医学の神殿へ
第3章 フーコーはピネル神話を破壊したか
第4章 精神医学権力――コレージュ・ド・フランス講義
第5章 愚かさと狂気――『阿呆船』と『痴愚神礼讃』
第6章 フーコーはデカルトをどのように読まなかったか
第7章 想像力の世界と狂気
第8章 ルーセルの衝撃
第9章 ソクラテスとフーコー

目次

第1章 初期フーコーと狂気の問題
『狂気の歴史』を読む/『狂気の歴史』が書かれるまで/サン=タンヌ病院の経験/図書館の鬼フーコー/歴史の重ね書き/フーコーのスタイル
第2章 反精神医学の神殿へ
売れ行き芳しからず/反精神医学運動のうねり/反精神医学とフーコーの距離/〈反-反精神医学〉と炎上するフーコー
第3章 フーコーはピネル神話を破壊したか
ピネル/鎖からの解放/ピュサン/フーコーのピネル批判
第4章 精神医学権力――コレージュ・ド・フランス講義
講義の背景/新たな研究方向(第一回講義)/規範的権力とは(第二~三回講義)/権力装置としての精神病者保護院(第四~五回講義)/真理への問い(第六~七回講義)/保護院空間と真理(第八~一〇回講義)/出来事と真理(第一一回講義)/講義が残した課題
第5章 愚かさと狂気――『阿呆船』と『痴愚神礼讃』
阿呆船は〈狂人輸送船〉か/エラスムス『痴愚神礼讃』/狂気の経験の大分割線
第6章 フーコーはデカルトをどのように読まなかったか
デカルト『省察』における夢と狂気/デカルトの〈三つの夢〉/フーコーの狂気論とデカルト/デリダとフーコーの空中戦
第7章 想像力の世界と狂気
芸能と狂気/ミュンスターリンゲンの愚者祭/芸能者と狂人/〈狂〉と〈美〉の世界
第8章 ルーセルの衝撃
レーモン・ルーセルとの出会い/創作者ルーセル/病めるルーセル/医師ジャネと患者ルーセル/フーコーとルーセル/秘密の棲み家
第9章 ソクラテスとフーコー
エロースと狂気/ソクラテスとエロース/魂-美-欲望/哲学者はいかに死ぬべきか/異邦人として

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

疎外者さん

0
これほどフーコーの人物像や背景を垣間見させてくれる入門書があっただろうか。前期の『狂気の歴史』をメインに据えつつ後期フーコーまでを架橋する書となっており、フーコーの原体験やデリダとの関係性、誤解され苦悩する研究生活など、自伝から汲み取った情報も盛り込まれている。ただフーコーの人物像について知れるだけでなく、著者も精神科医として働いてきた経験から、リアリティのある理論面の解説も必読である。2026/01/07

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