内容説明
脳は「過去を思い出す」ときも「未来を描く」ときも、同じ場所を使っていた──記憶の正体に迫る
記憶とは、頭の中に情報を保存するだけでなく、感覚と結びつきながらその都度よみがえる動的な現象である──神経科学者であり心理学者でもある著者が、記憶=固定的なものというイメージを覆し、数々のメディアで年間ベストに選ばれた、知覚をめぐるサイエンス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
72
人が何かを決断する時に、その選択をするのは記憶する自己である。そして想起は記憶を変える可能性がある。記憶にアクセスすることは、再生と録画のボタンを同時に押すのに近い。過去をありのままに記録したものが記憶ではない。記憶は写真というより絵画なのである。そして記憶とは、未来をシミュレーションし、より良い選択をするための基盤であると説く。「記憶は生きるための力」である。記憶に関しての最新の研究結果を紹介しつつ、一般の人にも興味を持ちやすいテーマを導入に、自らの説を紹介しています。記憶の見方が変わる良書です。2026/03/28
mim42
13
記憶研究に関する最新の知見がよくまとめられている。研究現場の臨場感と共に平易な言葉で書かれており素人にもわかり易い。ただ図表が一つもない点は違和感。あればもっと良くなるのに。索引も欲しい。 さて、要旨としては、記憶とは静的なものではなく、辞書的な意味記憶と場所的エピソード記憶、それらの関係性が、文脈を伴った想起の度に動的に推論(と書かれてはいないが)されるものである。記憶の仕組みにおける、海馬と前頭前野、DMNの関係が重要。その基盤的な仕組みは誤差駆動型学習である。好奇心、メンタル時間旅行が適応に有利。2026/04/03
minochan
4
記憶と感情の繋がり。怒っているときは嫌なことが思い出されやすいので喧嘩は終わらない。長く残るのは心地よい記憶なのでヒトはすぐノスタルジーに浸る。/ある古い記憶を思い出すとそれに似た別の記憶が消えるのはなんとなくわかる。/ペアで会話しながら古い記憶を思い出すとき、想起が阻害される場合と促進される場合があるという。自分のパートナーとの関係は後者であることを願う。何十年一緒に過ごしてお互いの記憶が断片的になっても補い合っていろんなことを思い出せたら嬉しい。2026/02/17
めげんともりもり
3
記憶の意義は沢山正確に記録してそれを再生できるかではなく未来をより良く生きることにあるらしい。無論正確に記録再生できればより良い未来が待っていそうだが、脳内各所の役割とその目的は異なる。海馬が場所や時間の記憶を司り、前頭葉が灰白質の記憶単位と海馬の場所時間のエピソードを結びつけるインデックスを持っているそうだ。この他デフォルトモードネットワークという脳内プロセスが概念の抽象化を司っているらしい。昨今のAIの学習プロセスやオブジェクト指向にも通じる考え方が脳内プロセスで説明できそうなのも興味深い。2026/08/16
新平
3
加齢への対抗する手段として、いつどこで誰と何をし、どんな感情を持ったかと言うことを意味記憶化しておくと良いのかもしれない。2026/07/06




