内容説明
個であることをやめるとき――名前も記憶も肉体も失って、気配や残存となったわたしたちの心は最後に誰と、どんな旅をするのか。生と死のあわいに見る、懐かしいのに不思議な風景。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
16
絲山さんの9つの短編新作は、生と死の間を魂がふわりふわりと行ったり来たり、という感じで捉えどころのない物語だった。全く現実味がなく人の体から魂が遊離するのか、夢か真実なのか全くわからない。誰もかれもいつかはいなくなり、誰もが忘れ、忘れられる。「命を借りて生まれ、命を返した、それだけのことだ。何かのために生きた、などということはない。因果もなければ続きもない」、だったらなぜ人は生きるのか。過去は夢なのか。何となく滅入ってしまう。と同時に絲山さんの状態が少し心配になってしまった。2025/11/29




