集英社学芸単行本<br> シリアの家族

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集英社学芸単行本
シリアの家族

  • 著者名:小松由佳【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 集英社(2025/11発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087817737

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内容説明

第23回開高健ノンフィクション賞受賞作

 選考委員大絶賛!

 書き手自身を取り巻く「人間」を、シリアの政治と歴史への深い理解とともに厚みをもって描ききった。 加藤陽子(東京大学教授・歴史学者)

 大家族の幸せな記憶、その一瞬の光芒が眼前に浮かんできそうだ。名作である。 姜尚中(政治学者)

 もはや言葉にすらできぬ過酷な日常を現実として生きた/生き続ける女性がいる。 藤沢 周(作家)

 世界が抱える矛盾を独自の視点で描ききった秀作。 堀川惠子(ノンフィクション作家)

 秘密警察も移民となったシリア人も政府軍兵士もイラン軍兵士も、すべて等身大の人間として描かれている。 森 達也(映画監督・作家)
※五十音順/選評より


風土に根差して生きる人々を撮り続ける著者は、シリアの沙漠で総勢70名という大家族アブドゥルラティーフ一家と出会い、その十二男、ラドワンと恋に落ちる。
やがて「アラブの春」から始まるシリア内戦に巻き込まれ、ラドワンは徴兵され、六男サーメルは政治犯として逮捕される。一家は故郷パルミラを追われ、難民として散り散りになってしまう。
脱走兵としてヨルダンに逃れたラドワンと結婚し、「シリアの家族」の一員となった著者は、異郷に生きる難民たちの取材を始める。

難民となりトルコで暮らして5年。一家の長である義父・ガーセムが、故郷に帰る夢を叶えることなく永眠した。アブドゥルラティーフ家の故郷パルミラの今を見たい……。著者は11年ぶりにシリアに向かい、秘密警察の監視や親族による軟禁をくぐり抜け、かつて一家が暮らした家にたどり着く。
命がけの取材から帰還した著者を待ち受けていたのは、夫ラドワンの「第二夫人を娶りたい」という驚きの一言だった……。

2024年12月、生きて故郷の土を踏むことはないと思っていたラドワン、そして多くのシリア難民に転機が訪れる。半世紀以上にわたって独裁を続けてきたアサド政権が崩壊したのだ。
政権崩壊から8日後、著者はラドワンと長男と共にシリアに入る。逮捕されたサーメルの消息を求め、「人間虐殺の場」と呼ばれたサイドナヤ刑務所を訪れる。その現場で目にしたもの、そして数少ない生存者が語った言葉は衝撃的なものだった。
激動のシリアを生きた市井の人々の、等身大の姿を描くノンフィクション。

小松由佳(こまつ ゆか)
ドキュメンタリー写真家。1982年、秋田県生まれ。2006年、世界第2位の高峰K2(8611m/パキスタン)に日本人女性として初めて登頂し、植村直己冒険賞を受賞。風土に根差した人間の営みに惹かれ、草原や沙漠を旅しながら写真家を志す。12年からシリア内戦・難民を取材。著書に『人間の土地へ』(20年 集英社インターナショナル)など。日本写真家協会会員。

目次

目次
地図
主な登場人物
第一部 内戦下のシリア
第一章 逃避行 二〇一二年五月 パルミラ
第二章 アブドゥルラティーフ一家 二〇〇八年一〇月 パルミラ
第三章 海を渡る移民たち 二〇二三年一二月 ドーバー海峡
第四章 沙漠へ、ラクダの乳を搾りに 二〇二一年五月 トルコ
第五章 パルミラへの道 二〇二二年九月 シリア
第六章 第二夫人騒動 二〇二二年九月 トルコ
第二部 アサド政権崩壊
第七章 歴史的瞬間 二〇二四年一二月 シリア
第八章 サイドナヤ刑務所 二〇二四年一二月 シリア
第九章 一三年ぶりの故郷 二〇二四年一二月 パルミラ
第一〇章 消えた秘密警察 二〇二四年一二月 シリア
あとがき
年表
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

つちのこ

42
クライマーから写真家に転身し、シリア人難民の伴侶を得て二児の母になった著者。前著『人間の土地へ』に続く波乱万丈のレポートは一瞬のうちに心をわしづかみされるほどの緊張感とインパクトがあった。2022年のパルミラへの潜入は、市民への弾圧が慢性化し秘密警察が跋扈する危険と隣り合わせの決死行。そこに写真家魂だけでは測れない日本女性の芯の強さを見た思いがした。アサド政権が崩壊した後のパルミラへの帰還は感慨深い。難民として家族は散っても、魂は故郷にある。家族を深く労わるその思いが迫った。シリアの民主化はまだほど遠い。2026/01/28

Toshi

36
シリア内線のルポルタージュと思って手にとったので、本書の展開には意表をつかれた。著者はシリア人と結婚しており、タイトルの「シリアの家族」とは彼女の家族のことであり、客観目線と当事者目線が交錯しながら内戦の顛末と、難民となった夫や義父、家族のストーリーが描かれる。同時にジャーナリストとしての打算と、妻・母としての立場の葛藤が赤裸々に描かれ、第三者から見たルポルタージュとは一線を画した作品となっている。2025年の開高健ノンフィクション賞受賞作。2026/01/04

しゃが

36
知っていたようで知らなかった真実を私に突きつけた。ニュースで理解したつもりになっていたむごたらしい権力闘争や戦争は、「遠い国の不幸」として処理してきただけだったのだという無知の罪を思い知らされる。著者自身の経験で結婚などの家族観や宗教観は矛盾や緊張を生むが、それでも戻った故郷で家族として生きようとする姿があった。シリアだけでなく、ウクライナやガザでも同じように日常や家族が奪われている。国は、組織は、人はどこまで戦争という残酷をやめないのだろう。2025/12/25

shio

33
シリアの大家族の男性と結婚し、その一員となった著者だからこそ見えたシリアの実情。長く暮らしてきた故郷を追われる残酷さ、政権によって生き方を変えざるを得ない苦悩。正義を貫いた政治犯が囚われたサイドナヤ刑務所はこの世の地獄でした。「シリアの家族」というシンプルなタイトルに、そこで生きて培ってきた歴史、文化、愛情、他愛ない日常、人として生きる大切なものが溢れるほどにこめられている。本来なら、大家族の特別でもない日々、時には第二婦人騒動で家族会議が行われ…など、問題が起きても家族の力で解決できるはずだったのに。2025/11/16

メタボン

28
☆☆☆☆☆ 過酷なシリア情勢を、自身のシリアの親族の動向を通じて記録した貴重なルポルタージュ。独裁政権、内戦により荒廃していくシリア。特に文化的な価値の高い世界遺産の町パルミラが破壊尽くされていることに衝撃を受けた。政権に対してモノを言えなくなった国家は破滅に向かう。かつての日本もそうであったように。アウシュビッツを想起させるサイドナヤ刑務所における非人道的な拷問や虐殺は、同じ人間により行われたことなのかと激しく憤りを覚えた。開高健ノンフィクション賞受賞も納得の力作であった。2026/01/05

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