集英社学芸単行本<br> シリアの家族

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集英社学芸単行本
シリアの家族

  • 著者名:小松由佳【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 集英社(2025/11発売)
  • 夏至&父の日!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~6/21)
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  • ISBN:9784087817737

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内容説明

第23回開高健ノンフィクション賞受賞作

 選考委員大絶賛!

 書き手自身を取り巻く「人間」を、シリアの政治と歴史への深い理解とともに厚みをもって描ききった。 加藤陽子(東京大学教授・歴史学者)

 大家族の幸せな記憶、その一瞬の光芒が眼前に浮かんできそうだ。名作である。 姜尚中(政治学者)

 もはや言葉にすらできぬ過酷な日常を現実として生きた/生き続ける女性がいる。 藤沢 周(作家)

 世界が抱える矛盾を独自の視点で描ききった秀作。 堀川惠子(ノンフィクション作家)

 秘密警察も移民となったシリア人も政府軍兵士もイラン軍兵士も、すべて等身大の人間として描かれている。 森 達也(映画監督・作家)
※五十音順/選評より


風土に根差して生きる人々を撮り続ける著者は、シリアの沙漠で総勢70名という大家族アブドゥルラティーフ一家と出会い、その十二男、ラドワンと恋に落ちる。
やがて「アラブの春」から始まるシリア内戦に巻き込まれ、ラドワンは徴兵され、六男サーメルは政治犯として逮捕される。一家は故郷パルミラを追われ、難民として散り散りになってしまう。
脱走兵としてヨルダンに逃れたラドワンと結婚し、「シリアの家族」の一員となった著者は、異郷に生きる難民たちの取材を始める。

難民となりトルコで暮らして5年。一家の長である義父・ガーセムが、故郷に帰る夢を叶えることなく永眠した。アブドゥルラティーフ家の故郷パルミラの今を見たい……。著者は11年ぶりにシリアに向かい、秘密警察の監視や親族による軟禁をくぐり抜け、かつて一家が暮らした家にたどり着く。
命がけの取材から帰還した著者を待ち受けていたのは、夫ラドワンの「第二夫人を娶りたい」という驚きの一言だった……。

2024年12月、生きて故郷の土を踏むことはないと思っていたラドワン、そして多くのシリア難民に転機が訪れる。半世紀以上にわたって独裁を続けてきたアサド政権が崩壊したのだ。
政権崩壊から8日後、著者はラドワンと長男と共にシリアに入る。逮捕されたサーメルの消息を求め、「人間虐殺の場」と呼ばれたサイドナヤ刑務所を訪れる。その現場で目にしたもの、そして数少ない生存者が語った言葉は衝撃的なものだった。
激動のシリアを生きた市井の人々の、等身大の姿を描くノンフィクション。

小松由佳(こまつ ゆか)
ドキュメンタリー写真家。1982年、秋田県生まれ。2006年、世界第2位の高峰K2(8611m/パキスタン)に日本人女性として初めて登頂し、植村直己冒険賞を受賞。風土に根差した人間の営みに惹かれ、草原や沙漠を旅しながら写真家を志す。12年からシリア内戦・難民を取材。著書に『人間の土地へ』(20年 集英社インターナショナル)など。日本写真家協会会員。

目次

目次
地図
主な登場人物
第一部 内戦下のシリア
第一章 逃避行 二〇一二年五月 パルミラ
第二章 アブドゥルラティーフ一家 二〇〇八年一〇月 パルミラ
第三章 海を渡る移民たち 二〇二三年一二月 ドーバー海峡
第四章 沙漠へ、ラクダの乳を搾りに 二〇二一年五月 トルコ
第五章 パルミラへの道 二〇二二年九月 シリア
第六章 第二夫人騒動 二〇二二年九月 トルコ
第二部 アサド政権崩壊
第七章 歴史的瞬間 二〇二四年一二月 シリア
第八章 サイドナヤ刑務所 二〇二四年一二月 シリア
第九章 一三年ぶりの故郷 二〇二四年一二月 パルミラ
第一〇章 消えた秘密警察 二〇二四年一二月 シリア
あとがき
年表
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

82
【私の人生はどこへと向かうのだろう。それは誰にもわからない。だが、行き先が見えないからこそ、人生は素晴らしい。そして、歩き続けることができる今日があることが、愛おしい】シリア難民の妻、そして二児の母となった写真家が、激動のシリアを生きた市井の人々の等身大の姿を描いた書。第23回開高健ノンフィクション賞。巻頭に、地図と主な登場人物紹介。巻末に、年表と参考文献。<この世には、語られることのない多くの物語があり、光ることのない多くの星がある。私は、その微かな存在を探し続けていく。物語は、始まったばかりだ>と。⇒2026/02/11

どんぐり

73
本書は、国家の崩壊と再生という歴史の転換点に立ち会うドキュメンタリー写真家としての矜持と、シリア人の夫と家族を通して世界の変動を見つめる。第1部では、夫の故郷パルミラに根づくベドウィン文化、内戦で引き裂かれた家族、難民となった者たちの過酷な現実が、写真家としての視線と家族の一員としての痛みを伴って描かれる。第2部では、アサド政権崩壊後のシリアを取材し、秘密警察の消失やサイドナヤ刑務所の死の記憶、そして混迷の時代を生きる人々の姿を追う。次のリポートを期待したい。 2026/05/18

pohcho

69
アサド大統領による独裁と恐怖政治から政権崩壊後までのシリアを取材したノンフィクション。この本が唯一無二なのは小松さんご本人が「シリアの家族」の一員だということ(取材対象のご一家の息子さんとご結婚されたのだ)ドーバー海峡を命がけで渡る難民たち。親族訪問ビザを利用した命がけのシリア入国。政権崩壊後、悪名高い刑務所を取材した話など、どれも迫真の内容でとても読み応えあり。また「第二婦人騒動」は違う意味でとても興味深かった。一般の日本女性ならとっくに離婚してると思うけど小松さんの度量の大きさに感心。とてもよかった。2026/03/06

つちのこ

51
クライマーから写真家に転身し、シリア人難民の伴侶を得て二児の母になった著者。前著『人間の土地へ』に続く波乱万丈のレポートは一瞬のうちに心をわしづかみされるほどの緊張感とインパクトがあった。2022年のパルミラへの潜入は、市民への弾圧が慢性化し秘密警察が跋扈する危険と隣り合わせの決死行。そこに写真家魂だけでは測れない日本女性の芯の強さを見た思いがした。アサド政権が崩壊した後のパルミラへの帰還は感慨深い。難民として家族は散っても、魂は故郷にある。家族を深く労わるその思いが迫った。シリアの民主化はまだほど遠い。2026/01/28

Hiro

50
日本ではあまり馴染みのない国の出来事なので、正直最後まで興味を保てるか少し不安だった。でも、宗教や文化、歴史、政治といった背景がとてもわかりやすく描かれていて、気づけば物語の中に引き込まれ、一気に読み終えていた。命懸けともいえる取材の重みが伝わってくる一冊。著者は写真家になる前に、K2に日本人女性として初登頂した経歴を持つという。その行動力と、危険な状況でも冷静に判断する強さが取材にも生きているのだと感じた。他の著作もぜひ読んでみたい。2026/02/27

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