内容説明
イギリスの離脱,移民や難民の増大,極右勢力の台頭,多様化する性…….様々な問題に直面し岐路に立つEU.壮大な実験はどこへ向かうのか.激動する世界の中で,どんな意味をもつのか.超国家的統合の実態や意義を明快に説き好評を博した前著『欧州連合』を大幅に改訂.これからの国際社会を展望するための新たな基本書.
目次
はじめに
第Ⅰ部 EUの実像――超国家的統治体の仕組み
第1章 統治機構としてのEU
1 何を行うのか――EUの機構と仕事
2 EUと国家の共同統治
3 EU統合における非対称性
第2章 EUと国家の役割分担
1 欧州統合プロジェクトの開始
2 EUを担う人々
3 モネ方式と欧州ポピュリズム
第3章 EUはどこまで拡大するか
1 拡大のプロセス
2 コペンハーゲン基準と拡大疲れ
3 拡大戦略の見直し
4 EUに加盟しない選択
5 イギリスのEU脱退
第Ⅱ部 EUを動かす論理――国家主権を超えて
第4章 域内市場の論理
1 経済統合が抱える矛盾――ロドリクの仮説
2 欧州統合三角形モデル
3 規制権限の所在と民主主義
第5章 自由移動と各国文化
1 EUと文化
2 物の自由移動はどこまで認められるのか
3 労働者の自由移動が問われるとき
4 サービスの自由移動と人権
第6章 EU市民権の論理
1 経済アクターからEU市民へ
2 EU市民権に基づく移動・居住の自由
3 国境を越えて移動していないEU市民
4 ジェンダー平等の原則――同性婚は保護されるか
第7章 単一通貨の論理――ユーロの仕組み
1 経済通貨同盟
2 欧州中央銀行の独立性と正当性――金利を決めるのは誰か
3 加盟国の経済・財政政策と安定・成長協定――財政赤字の「禁止」
4 銀行同盟
第Ⅲ部 EUのトランスナショナル・ガバナンスにおける対外的側面
第8章 トランスナショナル・パワーとしてのEU
1 EUのトランスナショナル・ガバナンス
2 カシス・ド・ディジョン判決とトランスナショナル・ガバナンス
3 ブリュッセル効果という現象――トランスナショナル・パワー
4 ブリュッセル効果の事例
第9章 シェンゲン領域と難民問題
1 シェンゲン領域とトランスナショナル・ガバナンス
2 二〇一五年欧州難民危機――シェンゲン領域の機能不全
3 「移民・庇護協約」――機能不全の解消に向けて
4 難民問題の外部化
第10章 アジア太平洋とEU
1 地域現象としての欧州統合
2 アジア太平洋の統合とEUベンチマーク
3 トランス・タスマン相互承認取り決めとEU制度の内部化
4 日EU規範形成パートナーシップ
あとがき
参考文献



