中公新書<br> 読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する

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中公新書
読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する

  • 著者名:伊藤氏貴【著】
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  • 中央公論新社(2025/11発売)
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  • ISBN:9784121028839

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内容説明

あふれる情報の中で時間に追われ、なおかつプレゼン能力が重視される昨今、読むという行為が疎かになっていないだろうか。本来、書き手の意図を正しく汲み取れて、初めて議論や思索は成り立つのに。本書は解釈学、構造主義、ナラトロジーなど、西欧で発展した読む技法を紹介。詩、小説から評論、法律まで多様なテクストを例示し、技法を応用して読み解く。より深い読解力を身につけたい読者のための、実践的な入門書。

はじめに 「読めたつもり」の危うさ

序 章 「読解力の教室」開講の目的と意義
読解力とは何か/さまざまなレベルの暗黙知/暗黙知を自覚する/前提としての文化的コンテクスト/日本語と「論理」/西洋で発展した読む技法/速読・多読は役に立つのか/文学はむしろ実用的

第一講 自己解体としての読書 〈地平の融合〉-- 村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む
「読む」意義はどのように変容してきたか/地平の融合/評論の基本構造/結論を先に押さえる/村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む/文章から骨組みを抜き出す/「喜ばしき学問」とは/まとめと発展

第二講 論理は書き手の意図を探るために 〈法的解釈〉-- 日本国憲法を読む
法解釈の理論はなぜ役立つのか/法令用語ならではの特徴/法令の「及び」「並びに」「かつ」はどう違うのか/法体系の構造化/文理解釈と論理解釈/論理解釈の種類/同性婚に関する法廷の憲法解釈/まとめと発展

第三講 読みの可能性を広げる〈精読・注釈〉--岡倉天心『茶の本』を読む
「馬鹿」は罵倒のことばなのか/注釈をつけながら読む/1 文彩(レトリック)/2 アイロニー/3 引用/4 時代状況/5 土地の刻印/まとめと発展

第四講 同じテーマや同じ書き手を比較する〈テクストの横断〉-- 佐藤春夫「愚者の死」と与謝野鉄幹「誠之助の死」を読む
テクスト論の現在/同じテーマをめぐるテクスト1 「愚者の死」/同じテーマをめぐるテクスト2「誠之助の死」/伝記的読解/書き手の意図に辿りつくために/同じ書き手によるテクスト1「レーダーホーゼン」/同じ書き手によるテクスト2「風の歌を聴け」/まとめと発展

第五講 作者や歴史を超える思想〈構造主義〉--芥川龍之介「蜜柑」と梶井基次郎「檸檬」を読む
ソシュールの一般言語学/構造主義と文学/小説の構造=筋/共通構造を抽出する/「構造」の意義/色彩の物語としての「蜜柑」/「蜜柑」に秘められた複雑な構造/「檸檬」の文学性/まとめと発展

第六講 語っている/聴いているのは誰?〈ナラトロジー〉--芥川龍之介「藪の中」を読む
ナラトロジーとは何か/1 時間/2 叙法/3 態/オースティンの言語行為論/芥川最大の「問題」作/比較断章法 藪の中の論点整理/解消されない齟齬/ナラトロジー 藪の中へ/「藪の中」のリアリズム/傍証としての言語行為論/傍証としての伝記的読解/まとめと発展

第七講 味読のための堂々めぐり〈解釈学的循環〉--神吉拓郎「ブラックバス」を読む
「循環」と呼ばれる理由/なぜ繰り返し読む必要があるのか/深く読むために通る道/神吉拓郎「ブラックバス」を読む/「ブラックバス」のミステリ構造/タイトルの意味/まとめと発展

最終講 声なき声に耳を澄ます--宇野邦一『反歴史論』を読む
難解なテクストに挑戦する/中島敦「文字禍」の注釈/問題を正確に捉える/主張を先取りする/歴史と歴史学/歴史と記憶/闘争の場としての歴史学/歴史と自由/ナポレオンをめぐって/歴史の喜びと苦しみと重さと/まとめと発展

おわり

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

うえぽん

55
文学部教授が小説から評論、法律まで様々な文章を題材にじっくりと読み解く技法を紹介。言葉の表面的な意味だけ取って揚げ足取りをする傾向や実用的文章ばかり重視する受験国語の変革に危機感を感じたという執筆動機に共感。普段小説を読まない自分には、小説こそ登場人物と語り手、作者という異なるレベルの意図を読み解く実用文以上の論理力が必要との指摘に、蒙を啓かれた思い。難解と筆者が紹介する最終講の「反歴史論」は却って馴染みやすかったが、書かれた歴史を通して書かれていないものを考えることを主張した点など分野的に深掘りしたい。2026/03/12

ののたま

17
文章を読むのであれば、書かれた背景も理解しないといけないと再認識▼ひと昔前の本も今の価値観で読んでしまう節があるので、当時の価値観を理解しつつ読まねばならない。▼事あるごとに世話になりそうな本だった。2026/03/20

読書一郎

14
文学作品や難解な文章の「読みかた」を教えてくれる本です。芥川龍之介の小説、法律の文章、難解な評論文などを題材に、読み解きを実践・解説をしてくれて、おもしろい内容でした。いかにも文学部にいそうな狷介なおじさん、という感じの著者で、そこは好き嫌いがわかれるかもしれません。2026/01/14

mocco

10
伊藤氏貴『読む技法』は、中崎倫子『読書思考トレーニング』がテクニック中心であるのに対し、より学術的な読書論だと感じた。「遅読」は非効率ではなく、むしろ読む力を深め、結果として速く読めるようになるという指摘が印象的だった。また、現実社会では言葉の表面だけでなく、その背後にある意図を読む力が不可欠であり、その訓練として文学はむしろ実用的だという視点に納得した。共感しやすい物語だけを読むと世界の理解が偏るという指摘は、現代のフィルターバブル現象を想起させた。2026/03/11

武井 康則

9
はるか昔から人は聖書を正確に読むため、文章読解の技術を磨いてきた。文の意味は論理的にたどればいい。しかし、筆者が意図するものを読み取れねば意味がない。難しい文とはその文を読むための前提知識が欠如している場合と、ただ情報伝達を目的としたものではなく、それ自体思考している場合。結論に至る議論の流れを理解しなければ結論に納得できないだろう。そんな文を読むために、テキストの横断、構造主義、解釈学、ナラトロジーなどの批評論理を紹介しつつ、それを実際に使って有名作品を評論し、最期は東大の長文問題に挑戦する。2026/01/18

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