内容説明
男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジャズ喫茶を経営していた。薫は店を手伝い、言い知れない「過去」を感じさせる大人たちとともに過ごすうち、一日一日を生きていくための何かを掴みはじめる――。昭和を舞台に描かれる、二度と来ない夏の日々。思春期のままならない身体と心を鮮やかに描きだす、「最初で最後」の青春小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきらぱ
24
主人公は学校に行けなくなった高校生。自ら大叔父のところへ厄介になると親に告げ、砂里浜という場所にやってきた。大叔父の喫茶店を手伝いながら心を落ち着かせてゆく。静かに流れる昭和の日常と大叔父に関連するシベリア抑留のエピソード。色々な場面が浮かび上がってきた。戦後の雰囲気があり、他者との繋がりも今と違う時代を味わえた。2025/12/28
練りようかん
18
高二の夏をむかえる前に学校に通えなくなった薫。ジャズ喫茶を営む大叔父のもとに預けられるのだが、憂鬱が膨れる通学路の景色と太平洋岸の町の描写ははかなく確実性があって、氏の文章が好きだなという嬉しい実感と、岡田がたった一人の従業員になる流れにとてつもなく引き込まれた。物語は半世紀前で、昭和の学校教育と大叔父が回想するシベリア捕虜の日々が点と点でありながらひと続きに感じられる。深くわかる二人とあまり語られない岡田の強弱がよく、浮上した謎がふつっと消える解の得られ方もいい。短いけれど没入の満足度高し。面白かった。2025/12/27
バーニング
4
松家は『火山のふもとで』や『光の犬』のような厚みのあるしっかりとした長編を書く一方で、『沈むフランシス』のような小品も作るところが非常に「こなれている」なと感じていたが、今回の『泡』も『沈むフランシス』に近い心地のする小説だった。北国ではなく海に面した暖かい場所が舞台で、土地の名前は伏せられているが東京からの距離を考えると紀伊半島あたりを想像して読んでいた(作中に主人公の移動距離が書かれていたが、四国や九州だと遠すぎるため)。2026/02/10
オールド・ボリシェビク
4
時代設定はたぶん、1970年代であろう。男子校のノリになじめず不登校になった主人公がひと夏、東京を離れ、海辺の町でジャズ喫茶を営む大叔父の元で過ごすことになる。大叔父はシベリア復員兵。ジャズ喫茶で働く青年もおそらく、全共闘崩れなのだろう。そんな「大人」と触れ合ううちに、主人公の中の何かが少しづつ変わっていく。高校の剣道の授業で他人が使った面や小手など防具をまた別人が使用する不潔感と嫌悪感を的確に描き出している。作家は私と全く同じ1958年生まれ。あの体験を完全に共有している。臭かったぞ、あの防具。2026/01/05
ナオ
2
お気に入り作家の文庫新刊なので、即買い。美しい日本語に癒やされる。2025/12/25
-
- 電子書籍
- 君は知らないかもだけど。 7 トレモア…
-
- 電子書籍
- フルカラー版 機動戦士ガンダムTHE …
-
- 電子書籍
- スピノザの世界 講談社現代新書
-
- 電子書籍
- モーターファングラフィティ 世界の最…
-
- 電子書籍
- 六畳間の侵略者!? 3巻 ダンガン・コ…




