内容説明
三重県が生んだ初の横綱で日本相撲協会の理事長も務めた三重ノ海剛司(つよし)さん(本名・石山五郎)のインタビュー連載。75歳で相撲博物館館長を退任した後の2023年2月~2024年4月に読売新聞三重県版などに掲載された。15歳で弟子入りし「我慢と辛抱の連続だった」という60年間の秘話を長年相撲取材を担当したベテラン記者に明かす。タイトルの「一簣之功(いっきのこう)」は横綱昇進の際の化粧まわしに刺繍された言葉で「最後まで努力を怠るなという戒め」という。インタビューでは、昭和の名力士による「柏鵬(はくほう)時代」「北玉(きたたま)時代」の次を担う「貴輪三魁(きりんさんかい)」といわれた時代のエピソードがふんだんに語られる。初土俵から16年、31歳で横綱となったものの、黒星先行の危機に陥り、対戦直前に酒2合をあおって乗り切った話や、後年、武蔵川親方となり、相撲協会理事長として、横綱の泥酔暴行事件、野球賭博問題、反社会勢力との交友といった不祥事の連鎖でNHKが相撲中継を中止するといった前代未聞の危機に対処した苦悩も生々しく回顧。同じ三重県松阪市出身の歌手・あべ静江さんや、元NHKアナウンサーの石橋省三さんなど、ゆかりの人々のインタビューも豊富で、相撲史だけでなく「時代」と「故郷」をしのばせる貴重なオーラルヒストリーだ。
目次
(1)入門15歳「我慢と辛抱」
(2)三段目優勝 その気に
(3)あべ静江さんとの交遊
(4)成長 好敵手いてこそ
(5)初挑戦 2横綱破る殊勲
(6)118年ぶり 三重から大関
(7)大関陥落から新境地
(8)「貴輪三魁」70年代彩る
(9)連続優勝 綱の矜持
(10)武蔵川部屋 興し32年
(11)不祥事の嵐 難局対峙 ほか
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