内容説明
「幕府は薩長に倒されたのではなく自壊した」「尊王攘夷が盛り上がった理由は日本人の“京都敬い”」「吉田松陰の面白さは馬鹿げていて愚直なところ」「外国人が幕末の人々に感じた頭の良さと狡猾さ」「大久保にない西郷の人間的な魅力」……『逝きし世の面影』の著者が、黒船来航で始まる激動期を独自の視座から捉え直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
84
著者・渡辺京二氏(1932-2022)は『逝きし世の面影』や『黒船前夜』などの著作で知られる在野の歴史家。本書は80年代初めに熊本・真宗寺で、若者や親しい仲間たちに対して行われた氏の「京二塾 日本近代史講義」の録音音声をまとめたもの。多くの史書と格闘して一つのまとまった考えに至たり、その成果が上記『逝きし世…』などの著作になっているという。幕末・維新の個々の出来事について細かく深く考察、それらを積み上げ全体の流れとして見た時、従来の解釈とは違った景色が見えてくるようである。⇒2026/01/05
skunk_c
64
『私の明治時代史』は本書の続編で、本来はこちらから読むべきだったようだ。「はじめに」で池澤夏樹氏が著者の略歴等を紹介しているが、予備校講師だったそうで、この語り口の上手さの理由が分かった。幕末維新のスタンダードな歴史を、45年ほど前という制約(その後の研究で色々明らかになっている)はあるものの、的確にまとめており、吉田松陰や西郷隆盛、木戸孝允、井上馨などへの評価も、自分に近いもので納得がいった。マルクス主義的唯物史観は明確に否定しているものの、その歴史内容はリベラルなもので、バランスもよいと感じた。2026/02/22
宮崎太郎(たろう屋)
4
80年代の渡辺京二さんによる歴史塾の講演。声で聴いてみたかったです。冒頭の池澤夏樹さんのエッセイがよかった2026/03/28
spike
4
今となっては割と語り尽くされた幕末維新観ではあるが、著者の語り口はやはり抜群にエキサイティング。講演の収録だからそれはそうなのだが。明治編を読まなくては。2026/03/10
アカショウビン
3
最も興味深かったのは「外国人が見た幕末日本」だ。オールコックは「このように完成した一つの社会を打ち破っていくことがいいことなのだろうか」と逡巡する。ハリスも同様だ。また日本人は「嘘つきだ」と言われる理由の考察なども面白かった。下関の砲撃の賠償で、後に米国議会は取り過ぎと判断し返還し、英国は平気で理不尽な額の要求をした。江戸期の農民は「干渉されない自由」をもち、残酷な刑罰も抜け道が多かった。西郷さんは陰謀を巡らさないと勝てないなら敗者で結構という人生態度だった。征韓論争とは江藤の追い落としであった…などなど2026/03/04




