内容説明
「幕府は薩長に倒されたのではなく自壊した」「尊王攘夷が盛り上がった理由は日本人の“京都敬い”」「吉田松陰の面白さは馬鹿げていて愚直なところ」「外国人が幕末の人々に感じた頭の良さと狡猾さ」「大久保にない西郷の人間的な魅力」……『逝きし世の面影』の著者が、黒船来航で始まる激動期を独自の視座から捉え直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
在野の近世史研究家であって最近マスコミでまた取り上げられている水俣被害支援者である渡辺氏による幕末の講演会を文章化したものです。話し言葉なので理解しやすく読みやすさがあります。正式な歴史家からは若干文句が出そうなところもありますが私はこのような観点での近世史もありだと思います。2026/05/01
まーくん
88
著者・渡辺京二氏(1932-2022)は『逝きし世の面影』や『黒船前夜』などの著作で知られる在野の歴史家。本書は80年代初めに熊本・真宗寺で、若者や親しい仲間たちに対して行われた氏の「京二塾 日本近代史講義」の録音音声をまとめたもの。多くの史書と格闘して一つのまとまった考えに至たり、その成果が上記『逝きし世…』などの著作になっているという。幕末・維新の個々の出来事について細かく深く考察、それらを積み上げ全体の流れとして見た時、従来の解釈とは違った景色が見えてくるようである。⇒2026/01/05
skunk_c
67
『私の明治時代史』は本書の続編で、本来はこちらから読むべきだったようだ。「はじめに」で池澤夏樹氏が著者の略歴等を紹介しているが、予備校講師だったそうで、この語り口の上手さの理由が分かった。幕末維新のスタンダードな歴史を、45年ほど前という制約(その後の研究で色々明らかになっている)はあるものの、的確にまとめており、吉田松陰や西郷隆盛、木戸孝允、井上馨などへの評価も、自分に近いもので納得がいった。マルクス主義的唯物史観は明確に否定しているものの、その歴史内容はリベラルなもので、バランスもよいと感じた。2026/02/22
ta_chanko
25
①幕藩封建体制の崩壊②尊王攘夷吉田松陰③文久から慶応まで④外国人が見た幕末日本⑤西郷隆盛という人。マルクス主義史観とは違う視点から観た市井の歴史家渡辺京二の講義録。封建的で遅れた江戸時代という史観ではなく、機械文明以前の最高の物質文明、ひとつの完成されたシステムとして江戸時代をとらえる。果たして文明開化が日本人にとって幸せだったのか、幕末日本訪れた外国人の証言も紹介しながら当時の日本社会について論考。農民には年貢さえ納めれば干渉されない自由があったし、各藩にも幕府に反抗しない限り自治が認められていた。2026/04/01
こだまやま
10
著者は在野の歴史家で、幕末から明治に日本を訪れた外国人の記録をまとめた『逝きし世の面影』という代表作がある。。ということを読み始める前に知っていたらそちらを先に読みたかったが、また今度。この本は幕末に関する講演を基調にしたもので、そのうち一章は外国人訪日者の手記の解説に割いているが、やはりその辺りの話が一番ユニークで面白かった。 当時の近代的欧米人の目を通して江戸時代の日本を見ることは、現代の日本から封建的江戸社会を見るのと似たような驚きがあったのだろうな。2026/04/27




