内容説明
『ショウコの微笑』『わたしに無害なひと』などで人気を博し、数々の賞を受賞してきた実力派作家の最新短編集!
手をのばし、すれ違う、
二人に差しこむひとすじの光。
人間関係の感情の機微を卓抜した力で描くチェ・ウニョン。
〈書くこと〉を使命とする強い意志。問い直される女性への差別。
【収録作】
大学で研究者を目指す私と女性講師を描く、表題作/基地村での女性殺害問題と校内誌編集部を描く、「役割」/雇用形態の異なる二人の車中での会話を描いた、「一年」/DV問題を扱った、「返信」/「夫と妻と子ども」という「一般家族」を超えた繋がりを描く、「種まき」「伯母さんへ」「消える、消えない」
2018年から2023年までに書かれた中短編全7編。
目次
ほんのかすかな光でも/役割/一年/返信/種まき/伯母さんへ/消える、消えない/作家の言葉/日本の読者の皆さんへ/訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
61
【私は愛する才能にも、愛される才能にも恵まれなかったけれど、いつも愛したいと思っている人間だった。この思いがどこかに届いたら――】女性同士の関係性が基軸の7つの短編。前作もそう…今作も深く心揺さぶられた……。「作家の言葉」から。<いろいろと足りないところが多い人間だし、幼い頃から人生とは仕方なく受ける罰のようなものだと捉えることが多かった。そんなことなさそうな顔をして、自分を取り繕っている時ですらも。そんな私が欠乏感を感謝して受け入れるまで、ひとっ飛びというわけにはいかないことも、今はわかっている>と。⇒2026/04/01
ケイティ
35
全7編の短編作品は、お互いを思うゆえのひずみやすれ違い、時に思いが重なる瞬間など、ささやかながらも映画のような余韻が残るような情緒的な物語ばかり。あからさまに困難な状況というより、内在化したしがらみに囚われた問題も多い。自分で折り合いをつける葛藤や諦観がより現代的。このままならなさを分析も判断もせず、そのまま抱え込むやるせなさと同時にたくましさへと昇華させられるのは、文学ならでは。日本の読者向けへのあとがきがが素晴らしく、今の私たちに伝えたい著者の誠意が溢れている。ぜひ本編後に読むことをおすすめしたい。2026/04/15
kibita
19
「返信」以降、「返信」「種まき」「伯母さんへ」「消える、消えない」は読んでいて苦しくて涙が流れた。 読み終えてからも、布団の中で反芻しメソメソと泣いた。読むというより、身に受けた感じだ。妻子を暴力で支配する為に利用される家父長制など滅んでしまえ。この作家は繊細すぎる。生きていくのが辛かっただろうと手を取りたくなる人達がいる。きっと私も手を取ってもらえたのだと思う。2026/01/24
フランソワーズ
15
「作家の言葉」にある。「人生はいつだって現在進行形で、誰も代わりに解決できない問題を解きながら一歩ずつ進んでいくだけだ」。その時々の失敗に直面し、傷つく不器用な女性たち。それでも何がしかのぬくもり、”ほんのかすかな光”を大切に抱いて、その後の人生を生きる女性たち。素晴らしい短編集です。2026/03/15
ようよう
7
好きな作家の最新作で手に取った。 過去作よりもリアルさが増した分、文学的な感興はやや後退し、はっきりとした目的(構造的な女性蔑視を浮き彫りにすること)を持った文章になっている。2026/01/19




