内容説明
エッシャーがだまし絵に密かにちりばめ、決して語らなかった視覚のトリックを100点超の図版で解く。謎解きの楽しさに満ちた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
138
あの「波紋と螺旋とフィボナッチ」の近藤滋先生がエッシャーを解読する。面白くない訳がない。エッシャーは、不可能建築の元ネタが、ネッカーの立方体/ペンローズの階段/ペンローズの三角形という三つの錯視図形だと語ってはいるが、自らそれ以上の解説は行っていない。近藤先生は、遠近法の駆使、建物の構造の変形、計算され尽くした構図、絶妙な人の配置など、エッシャーの秘密を次々と解読していく。レゴブロックや画像変換ソフトなどを駆使しながら、近藤先生なりに様々な試行錯誤をしながらエッシャーの巧みに迫ってゆく楽しさを満喫する。2025/01/18
うえぽん
53
エッシャーファンの理論生物学者が、その代表的なだまし絵の謎解きを試みた本。トリックの存在を明かさなかった版画家の手品のネタばらしはご法度ではないかと自問しつつ、書かずにはいられなかったものと推測。永久に昇降し続けるように見えるペンローズの階段の修正から始めて、遠近法による弱点を克服する細工等に係る筆者の仮説は相当説得的。自分は、脇役の演技者や修道士等の不思議な役割や、塔の上の多面体等の未解決部分にも強く惹かれた。現代絵画を嫌い、理論系科学者のような版画家であったエッシャーの人となりを深く理解できるだろう。2026/02/15
けぴ
45
エッシャーの代表作『物見の塔』『上昇と下降』『滝』の3作品を中心に騙し絵の謎を論理パズルのように紐解いていく。完全に理解するのは難しいところもあるが、なるほど、と思わせる良作でした。『画廊』の製作した背景を推理した章が一番面白かった。2025/10/26
Toshi
42
日経書評本。有名なエッシャーのだまし絵。いずれも元になる錯視図形があるが、それだけではエッシャーの絵にはならない。大リーグボール2号が、魔送球の縦の変化だけでは消える魔球にならないのと同じだ(若い人には分からなくてすみません)。その謎を、理論生物学者の近藤滋先生が解いていく。これは面白い! エッシャーは自分の作品を「アートではなく、クラフトなのだ」と言っていたらしいが、理論に拘り、あり得ない風景は描かないところから、究極のあり得ない風景をあるように描くにまでにどう至ったのか。エッシャーの軌跡も追っていく。2025/02/14
七草
41
エッシャーの「だまし絵」の「不可能建築」三作と呼ばれる「物見の塔」「上昇と下降」「滝」のトリックの謎について。元ネタはネッカーの立方体、ペンローズの階段と三角形の3つの錯視図形。遠近法と平行投影法は根本的に相容れないが、エッシャーだけは「遠近法を使って錯視図形を描くことで自然な立体感を出し」不可能を可能にしている。背景にある複雑な原理や、トリックの隠蔽方法の解説。エッシャーの論理的な秩序に驚いた。心理的、視覚的な盲点を突いていてマジックやミステリーのトリックにも応用できると思った。2025/11/03




