内容説明
ある出来事がきっかけで他人が作った料理を受け付けなくなってしまった高校生の冬真は、同級生の時枝くんに「難病を抱えた美少女」の妹がいるという噂をきく。友達にそそのかされ、時枝くんの家まで行ったことがきっかけで、冬真は時枝くんと仲良くなっていくが――。一方、国際交流プラザで働く紗里は、「きれいなものが好き」なあまり、太ることへの嫌悪感を抱えていた。自分が撮影した写真が原因で時枝くんを傷つけたことを知った紗里は、“罰”としてマッチングアプリを始めて……。それぞれの理由で世界への信頼が薄くなった彼らが、大切な人と歩いていくために一歩を踏み出す感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
159
例えば高校生の頃の私が冬真だったとして、それでも私はきっと冬真のようには生きられない。繊細で思慮深く自分の言葉で心を伝えることが出来る冬真が素敵だ。一日にして冬真は成らずだったろうが、ともあれ大人だ。『月のぶどう』から始まった私の寺地作品。最近はあれ?って思う事もあったが(当方比)本作はどストレートに響いた。連作短編6話、程よく繋がって読ませるのが絶妙な感じで心地よかった。冬真の父や時枝の両親には多々イラッとしたけれど、タイトルに続く言葉はそれぞれが持っているのだ。私はなに?2025/12/08
おしゃべりメガネ
104
さすがは寺地さん、素晴らしい作品でした。ここ最近の寺地さん作品、ちょっと自分にはあまりハマれてなったので、どうしちゃったのかなと思ったりもしてましたが、本作はこれまでの過去傑作にしっかりと肩を並べるコトのできる素晴らしい内容でした。それぞれにちょっとワケありな事情、環境を抱える登場人物たちがとにかく印象的で、こういう人物描写は寺地さんならではかと。母親の子供に対する愛情の大きさ、強さがこれ以上なく、しっかりと伝わる温かい作品です。人は年を重ねてこそ、わかるコトが少なからずありますよね。さすが寺地さんです。2025/12/23
pohcho
83
高校生の冬真は、同級生の時枝くんに「難病を抱えた美少女」の妹がいるという噂をきき、家まで行ったことがきっかけで彼と仲良くなる。時枝くんが撮られたある写真をきっかけにクラスでちょっとした事件が起こるのだが、その時のクラスのみんなの反応がいかにも今時。そう、今時の「やさしさ」はべつにやさしくないんだよね。若者も娘さんも、登場人物が皆いろんなものを抱えながら、それぞれに精一杯生きる姿が愛おしく、母親世代の子を思う気持ちにはグッときた。「世界はきみが思うより悪くない」そう言ってあげられるような世界であってほしい。2025/12/12
ネギっ子gen
78
【大人の代わりをさせられている子どもは同世代の子どもと話が合わない】冒頭から「他人が作った料理が苦手」と言う高校生が登場する、目次には食べ物に因んだ6つ題名が並ぶ、連作短編集。「この夏休み、時間が許す限り一緒に遊ぶ」と誓い合う高校生男子2人。その遊びが、「この夏は、ともに焼き菓子を極めようではないか」の台詞になるところなんて、超萌え。この作家の出会いが『水を縫う』。それから新刊出るたびに追っかけてきた。どの作品も満足度高かったが、いやぁー、30冊目の今作も良かったですよ。こないな描き方ってええですなあ。⇒2026/01/18
花ママ
74
久しぶりの寺地さんでした。ややしんどくなりそうな2組の恋愛模様。お互い今は絶対側にいてほしいと思っていれば、それが一番いいのではないかなぁと、淡々とした気分で読了。紗里と水田が初めて屋外デートの場所に「ほたるいしマジカルランド」が登場したのほ、すごく懐かしくてうれしかった。2026/01/10




