内容説明
これは前進か後退か?
幼い子供を抱えながら、日々の生活に疲弊する男。思い描く理想の人生と現実の狭間でもがき、ある決断を下そうとするが―
夫婦とは、家族とは何かを問う傑作小説。
「ことばとvol.7」掲載の「不服」に、書き下ろし作品「楽園」「パールライトタワー天王寺」を収録した、話題作『学歴狂の詩』の佐川恭一による最新小説!
蓄積した時間の厚みだけが二人をつなぎとめ、しかしそれは真に重要なものではない。確かにともに過ごした時間は、消え去ることのない絶対的なものかもしれない。だがそれだけだ。たんなる事実としてそれはあり、それに束縛されるかどうかは、これも信仰の問題にすぎない。
(『楽園』本文より)
【著者】
佐川恭一
滋賀県生まれ。京都大学文学部卒業。著書に『舞踏会』『シン・サークルクラッシャー麻紀』『アドルムコ会全史』『就活闘争 20XX』などがある。
目次
不服
楽園
パールライトタワー天王寺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
練りようかん
17
既読作の中で最も純文学に寄った作品集で、特に1編目の「不服」は暗い独白に引き込む力を感じた。“私”は小学生の時に地下鉄サリン事件があった世代だ。ダメ人間化した会社は結局皆が病むような職場で、結婚を約束した女性との自然消滅も含めて裏側が面白いと感じさせる不条理を描く。続く表題作もひと昔前なら1人前と認定されるはずのステージで、まさかの地獄を味わう。人生はファルス。公園を楽園に見立てた楽園追放がスローモーションで残る厭世観。最後の編も共通して宗教とは何ぞや?があらわれ、芸術と人間精神とが濃いテーマだった。2025/11/21
そうたそ
6
★★★☆☆ 結婚し幼い子どももいる中で、日々の生活に疲弊する男が、理想と現実の間でもがく様を、その一人語りにより綴るような物語。卑屈とユーモアが先行していたようなこれまでの作品に比べると、そういう側面もあるものの、どちらかというとただ淡々と進むストーリー。だが、だからこそよりヘビーにその内容がのしかかる。もちろん著者ならではのユーモアで重くなりすぎてはいない。社会に埋もれていく中年男性の悲哀。著者のまた新たな側面を見た気分になる一作。2026/01/30
金平糖
3
B+。 2025/12/24
蝉、ミーン ミーン 眠ス
1
最初こそいつものノリの『不服』で始まったが、その後はこの世の地獄を描いた『楽園』、そして煉獄を描いた『パールライトタワー天王寺』と本来僕が得意としない純文学寄りの作品が続いたが、そこはそれ独特の語り口で読ませてくれたし、文体に力のある作家の作品は苦手なジャンルでも面白いわ。2025/12/02
ren
0
途中で美術や音楽、文学に脱線し、なかなか戻っていかないところが笑えました。2025/12/08
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