内容説明
デビュー作で総なめ
第45回講談社 本田靖春ノンフィクション賞
第54回大宅壮一ノンフィクション賞
第71回日本エッセイスト・クラブ賞
第11回日隅一雄・情報流通促進賞大賞
受賞!
埋もれた海の事故に潜む謎。
生還者・関係者らの心の内。
困難な取材の先に見えたものとは?
〈本書は、間違いなく一級のノンフィクションだ。(略)
真のスクープとは何か?
それは「書かなければ永久に世に出なかった事実」だ。(略)
捜査権も持たぬ一人の女性が、黒い海を泳ぐようにして拾い集めた情報の断片をつなぎ合わせ、全体像を世に示した弩級の調査報道。受け取る側は心して読んで欲しいと願う。〉
――ジャーナリスト 清水 潔(解説より)
2008年、太平洋上で碇泊中の漁船が沈没。
17名もの命が失われた。
11年後、著者は沈んだ船「第58寿和丸」の取材を開始する。
生還者や専門家、国の事故調査に関わった者たちを取材するうちに事件の全貌が現れ始める。
人々を翻弄する国家の不条理も問う、デビュー作にして各賞総なめの傑作ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
64
書店の棚に表紙を向けて並べられ、ビニールがかけられていた。人気本なのだろうと思った。購入後、小説と思って読み始めるがなんだか違和感。ノンフィクションだった。2008年、犬吠埼沖で小さな漁船が一瞬にして沈没し、17名もの命が失われた。運輸安全委員会は「波が発生して浸水して、復原することなく沈没した」との結論。船主、助かった3名の乗組員は全く納得のいかない内容だった。調べて行くうちに、潜水艦がぶつかったのではないか? 燃料タンクからの漏油で、海面、乗組員たちが油まみれになっていた。謎は深まる一体真実はどこに?2026/01/11
都忘れ
11
2008年6月23日と言えば岩手宮城内陸地震が14日にありその渦中にあったせいか、こんな大きな事故があったという記憶がない。同じ東北に住む者として恥ずかしい。犬吠埼で漁船が一瞬にして沈み17名もの人命が失われ助かったのは3名のみ。運輸安全委員会の調査では波によるものと片付けられたその真相に疑問を持ち、丹念な取材、聞き取りを経て核心に迫ろうとする過程が克明に綴られてゆく。その後の大震災、原発という度重なる試練が船主たちを襲う不条理な状況も丁寧に描かれ、読み手に底知れない塊のようなものを突き付ける。2026/03/08
a.i
7
★★★★★書店で文庫新刊を眺めていてたまたま手に取り、興味がわいて購入した本。 軽く冒頭だけ読んでみてあとは翌日以降に…と思っていたが、事故シーンの臨場感がすごくて(怖くて)ドキドキしてやめられなくなった。 取材力がすごいし、全く知識のない素人にも読みやすい文章と構成。 野崎社長の人柄というか、人生にも胸を打たれる。 これ以上のことはわからないのかもしれないけど、それでも残された人たちにとって、ほんの少しでも希望だったり救いだったりになっていたら…と思う。ものすごく読み応えがあった。これは保存決定!2025/11/22
Sumiyuki
4
うむ。風化されつつある2008年に起きた沈没事故を検証した本。事件から3年後に公表された報告書は生存者並びに周囲にいた僚船の証言等とは異なっていた。主な相違点は、①右舷が傾いた時点では甲板には海水はなかった点、②流出した重油の量。著者は第二タンクをまたがる直径80〜120cmの穴が船底に空かないと起き得ない事故と仮説を立て、その原因は潜水艦による衝突とした。肝心の本船は海底5800mに、また軍関係の証拠は得られないため、物証はない。米軍の原潜説。潜水艦と船の事故の多くは隠蔽されがちとのこと。2026/03/15
けつねうろん
2
ニュースで目にした記憶はあるものの、日常にまぎれて忘れてしまった「事故」に、こんな大きな疑惑があるということを知って驚く。正直中盤までは沈没の原因追求に手詰まりを感じたのだが、事実に基づくリストを提示されると、疑惑は確信へと変化した。バレなければ隠蔽という基本スタンスは人命を愚弄していると思う。福島原発の件をこの線と一緒に語るのはちょっと行き過ぎのように思うが、国家機密に変わる内容の取材をここまでやり遂げた筆者には最大限の敬意を表したい。2026/02/25




