ナチ時代のドイツ国民も「犠牲者」だったのか:犠牲者の歴史政治学

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ナチ時代のドイツ国民も「犠牲者」だったのか:犠牲者の歴史政治学

  • 著者名:高橋秀寿【著】
  • 価格 ¥2,376(本体¥2,160)
  • 白水社(2025/11発売)
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  • ISBN:9784560091623

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内容説明

戦後ドイツの「犠牲者」認識の変遷を追う

日本でも、特攻隊員や被爆者、空襲被害者など、さまざまなカテゴリーの「犠牲者」を通して戦争が記憶されてきたように、戦後の国民意識が形成されてきた。犠牲者言説の変化は戦後ドイツの国民形成と密接な関係にある。
戦後のドイツ人はナチズムの「加害者」としての過去に向き合いながら、戦争の「犠牲者」としての認識も持っていた。特に戦後世代が多数を占めるようになると、この「犠牲者」意識は重要視されるようになった。本書は1980年代以降に「犠牲者」概念が頻繁に用いられるようになった背景を分析し、「犠牲者の歴史政治学」を提唱する。
本書は〈犠牲者・加害者〉という二元論ではなく、〈加害者・能動的犠牲者・受動的犠牲者〉という三分類で過去を理解すべきだとする。「白バラ」やヒトラー暗殺未遂犯、ソ連兵の性暴力被害者、強制追放された者など、多様な犠牲者像の変遷を追う。1980年代以前、暗殺未遂犯は肯定的評価を受けず、性暴力の被害も封印された。一方、ソ連侵攻による追放者は冷戦下で「能動的犠牲者」として語られた。
1980年代以降、ホロコーストが世界史的事件として認識され、「ホロコースト・モデル」が確立すると、受動的犠牲者が歴史の中心となり、性暴力や追放の被害者も語れるようになった。この変化は戦後ドイツの国民形成と密接に関わる。
この問題は日本にも通じる。
日本でも、特攻隊員や被爆者、空襲被害者など、さまざまなカテゴリーの「犠牲者」を通して戦争が記憶され、戦後の国民意識が形成されてきた。本書は、ドイツの「過去の克服」と犠牲者概念の変遷を明らかにする意義深い研究である。

【目次】
序章
 1 ナチ時代のドイツ国民=「犠牲者」?
 2 犠牲者概念
 3 本書の目的
第1章 反ナチ抵抗犠牲者とその戦後
 1 ヒトラー暗殺未遂事件の「七月二〇日の男たち」
 2 「白バラ」抵抗運動
 3 ヒトラー爆殺計画事件の単独犯──G・エルザー
 4 反ナチ亡命者
第2章 追放と性暴力
 1 終戦期の被追放者
 2 非追放者の表象
 3 追放の受動的犠牲者から復興の能動的犠牲者へ
 4 性暴力犠牲者とその戦後
第3章 反ナチ抵抗犠牲者の記憶
 1 「抵抗」範疇の拡大──エーデルヴァイス海賊団とG・エルザー
 2 「七月二〇日の男たち」と「白バラ」の記憶の構造転換
 3 英雄から救済者へ
第4章 追放の記憶
 1 よみがえる記憶とその政治化
 2 ポピュラー・カルチャーのなかの被追放者
第5章 性暴力犠牲の語りとトラウマ
 1 性暴力犠牲の語り
 2 戦争児とトラウマ
終章
 1 本書のまとめ
 2 〈犠牲者の歴史政治学〉の意味と意義
 3 〈犠牲者の歴史政治学〉と「私たち」
 あとがき/注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

98
左右の歴史認識の対立が著しい今日だから、表題に興味を覚えて手にした一冊。「犠牲者」としての自己認識を自明化している日本が、ナチスを否定し「過去を克服」して戦後を歩んだドイツに学べるのではと期待して。「犠牲者の歴史政治学」を提唱する著者は、加害者と犠牲者という対立概念で捉えるのではなく、能動的犠牲者と受動的犠牲者という捉え方をすべきだと主張する。でも恥ずかしながら、その論考が私には十分に理解できない。「ドイツ国民も犠牲者だったか」と問うのではなく、犠牲者だったという前提で議論が進むことに違和感を禁じ得ない。2025/09/12

つちのこ

46
「加害者」と「犠牲者」という対立的な捉え方は、立場を変えることによって表裏一体の危うさがある。ハマスとイスラエルの戦争においても、どちらが加害者で犠牲者なのかも分からない状況だ。いかに客観的に事実を捉えることができるのか、冷静な判断が必要となりそうだ。著者が提唱する能動的犠牲者と受動的犠牲者の特性を知ることは、政治的に構成された概念を分析し、変化してきた歴史的過程を究明することで解き明かすことも可能になってくる。ホロコーストの犠牲者の裏側にもまた、多数のドイツ国民の犠牲者が存在したことを忘れてはならない。2025/11/02

salvia

2
ドイツ国民はナチ時代の自国民に対する認識をどのように変容させてきたのかを、〈加害者ー能動的犠牲者ー受動的犠牲者〉という概念の複合体を通して分析を試みている。戦後暫く国民の大半は自分たちを犠牲者と捉え、ナチス抵抗者たちを「裏切り者」「他者」と見做していたが、映像・出版メディアなどの影響によって能動的犠牲者として認めるようになった。東欧からの「被追放者」について知りたくて読み始めたが、犠牲者である彼らが次世代への教育投資を行う未来志向の戦略で近代的な中間層の担い手になったいうのが印象的。2025/07/25

Go Extreme

2
加害者と犠牲者の二分類 能動的/受動的犠牲者 「犠牲者」意識と「ユダヤ人」観 自らの意思の能動的犠牲 意思に反する受動的犠牲 「能動/受動」性の政治性 戦後ドイツの「犠牲者」記憶 空襲含む戦争犠牲者 反ナチ抵抗「7月20日の男たち」 「無垢の花々」の役割 「白バラ」の抵抗運動 政治目的のない「個人の犯罪行動」 反ナチ亡命者の存在 「故郷被追放者」の強制移住 戦時下の性暴力 トラウマ/「戦争の子」世代伝達 「ホロコースト・モデル」形成 「犠牲者意識ナショナリズム」2025/05/20

Oki

1
プーチン時代のロシア国民や金正恩時代の北朝鮮国民もどうなのか。 2025/11/01

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