内容説明
夏休みの初日、目が覚めたあたしは、見知らぬ体育館にいた。周りには7人の少年少女と、着ぐるみを着た謎の人物が発した言葉――「キミたちにはこれから、一本の劇を演じてもらいます」。なぜあたし達はここに連れてこられたのか。そして、劇が完成した先に待つものとは。その理由と物語の結末が明かされた時、読む者の心も炙り出されていく。吉川英治文学新人賞受賞後第一作。人間の心の深淵に迫る青春エンタメ大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
29
夏休み初日に目覚めた主人公ホノカが、体育館に集められた8人の中学生とともに、謎の座長から「劇が完成するまで帰れない」と言い渡される青春ミステリ。なぜ彼女たちはここに連れてこられたのか。劇が完成した先に何が待っているのか。それぞれに役を割り振られ、最初は互いに警戒し合っていた彼女たちが、稽古を重ねるうちに少しずつ心を開き、それぞれの抱える「罪」や過去が浮かび上がっていく展開でしたが、巧妙な劇中劇を演じることで過去に向き合い、悩みを分かち合い関係を深めていく彼女たちが最後に見出した王冠はなかなか印象的でした。2025/11/27
rosetta
26
★★★★☆デビュー以来全作品がお気に入りという荻堂さんの新作は毛色が変わった不思議な話。目が覚めたら知らない7人と一緒に知らない場所に連れてこられてた中学2年生のホノカ。てっきりデスゲームが始まるのかと思ったら、着ぐるみを着た座長はこれから演劇をしてもらいますと。8人の王子の父王の危篤になり、いちばんうつくしい王冠の持ち主が王位を継ぐ芝居。集められたのはかつて人を傷つけたことのあるメンバー。自分を見つめ罪を自覚する様に求められる。奇人かと思われた座長が実は案外いい人。芝居経験者の自分にも違和感がなかった2025/12/29
信兵衛
26
イジメはどれほど相手の心を傷つけることか。する方は軽い気持ちかもしれませんが、現実には謝っても一生許されることがなくても当然のこと。 その重みを是非知ってほしい。本作はそんな作品です。2025/11/30
本の蟲
20
見知らぬ体育館で目が覚めた中学2年のホノカ。そこには自分同様、寝ている間に集められた7人の少年少女と、座長を名乗る着ぐるみの男がいた。座長は「全員で稽古を重ね、一本の劇を演じてもらう。完成するまで帰さない」と告げるが…。デビュー2作目の『ループ・オブ・ザ・コード』が抜群に良く、前後の作品も追っている贔屓の作者。ただ今回は正直微妙。いっそ「デスゲーム」系のノリならリアリティラインを下げた上で楽しめたのだが、各登場人物の心情や設定が中途半端に現実的。そのせいで色々な所で「そうはならんやろ」が先に来てしまう2025/11/18
雪丸 風人
15
デスゲーム的な軽薄さとはまるで別物でした。中二女子が連れ去られた先で、奇妙な劇の特訓漬けにさせられるストーリー。犯行の目的は何?怪しげな指導者やほかの中学生たちは何者?少女は混乱の極みの末に、思いがけない真相を知ることになります。彼らに思い知らせるための壮大な仕掛けが凄い!その規模はきっと「誰か」の感情の激しさと比例するのでしょう。過去と向き合うことで、自分自身と周囲への理解を深め、ふさわしい振る舞いに気づけるという物語の含蓄がいいですね。ほんのり甘くビターな締め方も好き。(対象年齢は13歳以上かな?)2025/11/24
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