内容説明
いつまでも深く胸に残る哀切な幽霊譚
その踏切で撮られた写真には、写るはずのない人影が記録されていた。
大都市の片隅で起こった怪異。
最愛の妻を亡くし、絶望の淵にいる記者が突き止めた真実とは?
哀しみ、怒り、恐怖――読む者の心に様々な感情を喚起する、ホラーを超えた新たな幽霊小説の誕生。
迫真の筆致で描かれた、生と死についての物語。
第169回直木賞候補作
解説・朝宮運河
単行本 2022年10月 文藝春秋刊
文庫版 2025年11月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
155
★★★★★★★☆☆☆直木賞候補となった高野和明の長編。女性誌の特集で心霊写真を扱うこととなった記者の松田は、下北沢3号踏切に現れるという女の幽霊について調べ始める。その踏切では1年前に、一人の女性が刺殺される事件が起きており――。身元不明の女性は、なぜ寂れた踏切で短い生涯を終えることとなったのか。重傷を負いながらも踏切を目指した理由とは。一枚の心霊写真から始まる哀しき幽霊譚。ホラー発ではあるものの、その終着点は問題提起を含んだ社会派ミステリである。それだけに、諸悪に対する鉄槌はペンの力で下してほしかった。2026/03/13
エドワード
65
殺人事件に幽霊が登場するユニークな作品だ。下北沢駅の踏切で女性の死体が発見される。現場で撮影した写真に、写るはずのない女性の姿が写っていた。怪談の記事を探していた婦人雑誌記者の松田は、元新聞記者の血が騒ぎ、事件の真相を追う。ホステス、暴力団、政治家、社会の闇へ踏み込むが、女性の名前が一向にわからない。霊媒師が発した「つぐみの」とは何か?鳥の折り紙がヒントとなる。幽霊や怪奇現象が出て来るが、本筋は本格社会派推理小説である。時代設定は1994年。公衆電話、フィルム写真、そして地上を走る小田急線が郷愁を誘う。2026/01/13
H!deking
64
超〜お久しぶりの高野さん。女性誌の企画で心霊ネタを追いかけていたところ、、的なお話。めちゃくちゃ面白かったです。オカルトとミステリーのバランスがちょうど良いですね。最近ホラー映画ブームなので映像化しても面白そうですね。2026/08/05
アッシュ姉
60
ホラーとは一線を画す、高野さんならではの幽霊小説。キーワードで表すとするならば、地道、丁寧、誠実。早くも次作品に期待を寄せてしまう。楽しみに待ちたい。2026/07/17
よみとも
58
女性誌に持ち込まれた心霊ネタから浮かび上がってきた殺人事件。犯人は逮捕済みで被害者身元不明のまま捜査終了となっていたこの事件の真相を元社会部新聞記者が追いかける、という硬派な筋書きですが、そこに幽霊の存在が絡み、怖くて面白くて一気読みでした。怖がらせるだけの小説とは一線を画していて、ホラー苦手な私でも無事読了です。ただ、表紙は怖くて、カバーして見ないように読みました。ネットも携帯もない1994年が舞台なのが意外でしたが、何と作者が高校生の時に書いた映画のシナリオが元になっているとのことでビックリ。2026/08/27




