地上の楽園

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地上の楽園

  • 著者名:月村了衛【著】
  • 価格 ¥2,530(本体¥2,300)
  • 中央公論新社(2025/10発売)
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  • ISBN:9784120059599

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内容説明

差別も貧困も、なくならないのか?
今なお続く「在留外国人問題」に切り込む、慟哭必至の社会派巨編


在日朝鮮人帰還事業――
1959年に始まったそれは、人類史上最悪の「大量殺戮」への序章だった。
二人の若者がそれぞれ経験した「地獄」を描き、現代に通ずる差別の源流と、政治家・マスコミらが犯した大罪に迫る。



なんやおまえ、チョーセンやないけ――。
1959年大阪。在日朝鮮人への差別がはびこる街で、復興を遂げ平等を実現し「地上の楽園」と称される北朝鮮への「帰国運動」が過熱していた。
学問の道を志す高校生の孔仁学は、ヤクザの抗争に巻きこまれ窮地に立つ親友・玄勇太に「帰国」を勧める。
家族とともに北朝鮮へ行くことを決めた勇太だったが、帰国船内の食事の貧弱さや寝床の汚さに、「楽園」への違和感を覚え始め……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

本の蟲

15
赤十字、在日朝鮮人総聯、日本政府が共に行った在日朝鮮人の「帰国運動」。しかし実態は、何万人もの犠牲者を出した国際犯罪劇だった。「地上の楽園」を信じ、皆に帰国を薦めた高校生孔仁学。仁学の勧めで家族で帰国した玄勇太。二人の青年が見た地獄。日本人として許せないのは、やはり訪朝した記者やジャーナリスト。彼らは一体何を見て、何を考えて書いたのか。ソ連崩壊。中国の方針転換。社会主義国家が生んだ数多の虐殺を見てなお、現実と乖離した主張を繰り返す政党とその支持者たち。陰謀論信者やカルトも似たようなものか2025/10/30

Francis

9
今日たまたま有休で時間があったのを幸い一気に読み直した。1950年代後半朝鮮半島南部出身の在日コリアンたちが「地上の楽園」と喧伝された北朝鮮に「帰国」した「帰国運動」の実態と欺瞞を暴いた小説。フィクションとは言え、豊富な参考文献に支えられた記述からはいかにこの「帰国運動」が酷いものだったかが良く分かる。植民地化された韓国から様々な事情で日本にやってきた在日コリアンを同じ日本人として受け入れず、差別し続け挙句の果てに「地獄」と化した北朝鮮に事実上追放した「帰国運動」はまさに国を挙げての棄民政策だった。2025/10/31

Francis

9
中央公論の連載小説の単行本化。中央公論の連載はずっと読んでいて完読したので読んだ本に入れます。今単行本で再読中。本の最初の方を読んでいて、二人の主役を含む在日コリアンへの差別のひどさに胸が痛くなる。このような差別を常に受けていれば、あまりにも悲劇的な北朝鮮への「帰還」に多くの人が夢を託して北に向かったのも理解できる。在日コリアンたちの多くは祖国大韓帝国が日本に「併合」され植民地化されたため、生きるために日本に来ただけなのに。どうしてここまで差別する必要があったのか。言葉や生まれが異なっても同じ人間なのに。2025/10/31

たかあき

5
30年前くらいかテリー伊藤が笑いを中心に書いた作品の後、脱北者の告白などで一時期少し流行った気がする北朝鮮だったが、情報がリアルになるにつれ逆にネタにされる事が減ってきた題材だが今作は豪速球ともいうべき直球勝負。結果を知っていて読むとドキドキする第1部。地上の楽園でのサバイバルの第2部。綺麗にフィクションに落とし込む第3部。胸糞な話をエンタメとして上手くまとめたが本当に酷い話だ。歴史としては普通に知られている事ではあろうが、加担した政治家や出版社などをきっちり実名で登場させた事に本作は大きな意義がある。2025/10/25

スエ

4
戦後、差別と貧困にあえぐ在日朝鮮人たちに提示された「地上の楽園」への移住計画。行き先は彼らの祖国である北朝鮮であり、それは誰もが自由を謳歌できる、安息の地と称されていたが…。真実を知らず帰国運動に荷担してしまった高校生の仁学と、彼の薦めで家族共々帰国の船に乗ってしまった勇太。歴史に葬られた国家的大罪を暴くような、容赦なく恐ろしい物語でした。あの政治家の祖父と父親も、実名で登場していたりで。これは皆さん、読んだ方がいいと思います。2025/10/31

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